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活用事例:山梨県

活用事例

山梨県

EBPMで進めるこれからの県政。都市公園の来訪者数の予測モデルを構築、都市公園の運営に活用

エリア分析ニーズ調査官公庁・自治体

山梨県では、DS.INSIGHTをさまざまな所属のみなさまにご活用いただいております。今回は、都市計画の分野の活用事例について、山梨県県土整備部の弦間 重彦様にお伺いしました。またDS.INSIGHTの活用の可能性について、導入を主導されたDX推進グループの進藤 聡様にお話を伺いました。

山梨県県土整備部 峡南建設事務所都市計画・建築課
(現在は県土整備総務課景観づくり推進室に所属)
弦間 重彦様

都市公園の来訪者に対する影響要因分析から予測モデルを構築

- 今回の分析を行った背景を教えてください。

富士川クラフトパークは、山梨県の都市公園で、各種遊具、日本庭園、ドッグラン、バーベキュー場やカヌー場、バラ園がある自然豊かな公園です。
この富士川クラフトパークを、より魅力的な施設にし、より多くの人々に利用してもらうためには、公園への来訪者が、どのような事象に影響を受け、またどのような意向を持って公園に訪れたかを把握することは、重要なことであると思いました。
以前から人の行動データを施策に活かしたいと思っておりましたので、来訪者数の増減に影響する要因や来訪者の興味・関心事を把握するためにDS.INSIGHTを活用し、分析してみました。

- 分析内容について教えてください。

いきなりモデルを構築するのでなく、4つのプロセスで進めました。

1.人流データの基本集計を行い、来訪者数と来訪属性の月毎の傾向を把握
2.来訪者数に影響しそうなデータと来訪者数をクロス集計し、影響要因を特定
3.クロス集計結果を踏まえ、重回帰分析による予測モデルを構築
4.来訪者のネット検索データから、興味関心事を把握し、施設PRなどに活かせるか検証する。

まず、1では、DS.INSIGHT Placeで、「富士川クラフトパーク」全体をカバーするようにカスタムエリアを設定し、来訪者の人数、属性を把握しました。

「富士川クラフトパーク」のカスタムエリア設定(DS.INSIGHT Place)


「富士川クラフトパーク」への来訪者については次のことを把握できました。
・来訪者数は、月に5,000人~14,000人程度である。
・休日の県外来訪者は、全体の約30%に上り、その大半は静岡県からである。
・来訪者は男性が多く、年代は40歳代以上の中高年齢層が多い。

月別来訪者数(DS.INSIGHT Place)


平均来訪者数及び来訪元(DS.INSIGHT Place)

- 分析結果から新たな発見はありましたか?

静岡県からの来訪者が予想以上に多かったです。もう少し県内が多いと思っていましたので、把握できてよかったです。

来訪者の性別及び年齢構成(DS.INSIGHT Place)


また来訪者は、中高年齢層や男性が多いというのも発見でした。
アンケートの集計結果では女性が多かったので、もしかしたらご家族で来訪されて、代表して女性が書いているケースがあったかもしれないなと感じました。
一方、「富士川クラフトパーク」の検索は女性が多いので、来訪の関心や意思決定されているのは女性が多く、ご家族で車で来られている方が多いという仮説も立てられますね。

- クロス集計では、どのようなデータを使われたのですか?

来訪者数に影響すると思われる事象として、天候や季節、近隣施設の来訪者数、公園でのイベント実績などの既存の統計データを活用しました。

クロス分析結果の一部


各事象の統計検定結果


来訪者数への影響度合いは、プラス要因として「周辺施設の来訪者数」「休日」「春」「バラの開花期」「開催イベント数」の順であり、マイナス要因としては「雨・雪」「コロナウイルス感染者数」「緊急事態宣言」の順に大きいことが分かりました。

事業者側でコントロール可能な要因としては、「イベントの開催」が挙げられます。「バラの開花期」に来訪者が増加する傾向であることから「バラ」をテーマにした取り組みも来訪者の増加に寄与する可能性があることや、「道の駅などの周辺施設」の利用者増も、来訪者増に影響するということが分かりました。

各要因の影響の度合い

- モデルの開発はどのように行われたのですか?

影響要因を、来訪者数を説明する変数として用い、対象期間全日数のデータに対して重回帰分析を行い、来訪者数予測モデルを構築しました。

DS.INSIGHTでの来訪者数のデータと予測値を比較すると、ある程度、来訪者の増減の傾向を表現できており、将来の来訪者数を予測することも可能となったと考えています。

DS.INSIGHTでの来訪者数のデータと予測値の比較

来訪者の関心分析をもとに施策を検討

- 来訪者の興味、関心についてはどのように分析されましたか?

来訪者増加に繋がる情報発信方法や、イベントや施設整備の計画に活かしていきたいと考え来訪者、人々の興味・関心事の調査を行いました。

DS.INSIGHT Placeで、「富士川クラフトパーク」来訪者の特徴的な関心キーワードを取得できます。これを月毎に出力し、その順位から「興味・関心スコア」という独自の指標に数値化しました。

来訪者数の興味・関心(検索キーワード)スコアランキング


来訪者は、やはり「富士川クラフトパーク」を多く検索しており、そのほかには身延山、下部温泉、ゴルフ場、道の駅などの周辺観光施設の検索も多いことが分かりました。
来訪者がどのような関心を持っているかを、定量的に理解できるので、今後のPRに活用できます。

- そのほかにどのような、興味関心分析をされましたか?

DS.INSIGHT Peopleの時系列キーワード機能で、「富士川クラフトパーク」を検索した人が、他にどんなキーワードを重複して検索しているかを調査しました。

フィルタ機能で、「レジャー・遊び」「旅行・観光」「建物・施設」のカテゴリに絞った結果が以下の通りです。

「富士川クラフトパーク」を検索した人の時系列検索キーワード


この結果から、「富士川クラフトパーク」の検索前には「県外施設」も含めた検索をし、その後、県内施設を検索する傾向にあることや「自然、動物、花、公園」「文化・芸術」・「温泉」や「道の駅」などを検索する人も多いことが分かりました。

これにより「富士川クラフトパーク」を検索する方の、レジャーや観光などへの関心が把握できたので、PRの検討の際に対象イメージがクリアになりました。
また、どのような施設と連携していくと、相互に認知を高めていけるか連携先の検討にも活用できると思います。

分析の工夫点と成果

- 今回の分析で工夫された点を教えてください

ビッグデータは大量のデータを一度に取得できるのが魅力だと思いますが
それを手段としてどのように使うか、利用者が考えることが大事だと思います。

今回工夫した点としては
気象や時節やイベントの開催実績やバラの開花時期などが来訪要因になるのではという仮説から、既存のデータとビッグデータを組み合わせ、統計分析により影響要因を特定した上で予測結果を導き出したという点です。

合わせて、検索データを通じて、人々の興味関心に着目し、来訪者になりやすい人を分析した点も今回工夫した点です。今後、取り組む施策の検討に役立てられました。
道の駅など周辺施設と連携した施策検討や、自然や文化・芸術などの関心層や、静岡県の施設との相互PRも有効かなと考えています。
また来訪者も含め、人々が花に関心が強いことが分かりましたので、バラ園の魅力をより向上させる施設整備も有効だと考えています。

- DS.INSIGHTを使ってみていかがでしたか?

DS.INSIGHTはグラフなどで表現されているので見やすく、状況を大枠で掴むのに非常に役立ちました。
データもダウンロードができ、他のデータとも共通のフォーマットで扱えるので、組み合わせやすく、非常にありがたかったです。
また、想像していたことを、数値として示すことができるということは、周囲を説明する上で、有益であると感じました。

- 今後の活用について展望があれば教えてください

ビッグデータだけではなく既存の統計と組み合わせて深い分析をすると、新たな発見やさまざまな統計分析がしやすくなると思っています。
景観づくり推進室では、インスタグラムの運営など、インフラの魅力を発信する施策を進めています。DS.INSIGHTで施設への来訪者数や関心ごとを把握して、社会資本の役割や、関連する取り組みなどを情報発信し、多くの方々に興味を持っていただき、担い手確保や観光振興にもつなげたいと考えています。

県政におけるデータ活用の可能性について

つづいて、DX推進グループの進藤様に、県政におけるデータ活用の状況と可能性についてお伺いしました。

知事政策局DX推進グループ
進藤 聡様

- DS.INSIGHT導入に至った経緯を教えてください。

コロナ対策で人流を把握するために導入しました。
県庁は市町村間、都道府県間移動を見ることが多かったので、それが職員でも簡単に調査しやすいインターフェースだったことが決め手になりました。のちにカスタムエリアの機能も追加されましたので多様な分析が可能になりました。

- DS.INSIGHT導入前後の変化について教えてください

庁内ではほぼリアルタイムで収集されるビッグデータを活用するという経験がほとんどなかったのではないかと思います。
その中で、DS.INSIGHT導入は、簡単なインターフェースによって誰でも人流データや検索データの分析を行ってみることができるので、職員のデータ活用に対する根底の意識を変えることに役立っていると考えています。
職員がだれでも簡単にデータ分析ができ、ビッグデータは県庁でも使えるということを示すことができました。

一方で、拡大推計など統計的な概念を理解してもらうことにはまだ少し課題があります。悉皆調査は継続的に取ることは難しいところもありますので、サンプル調査に基づいた拡大推計のデータについてもその特性を理解しながら活用していくことが重要だと思っています。
さまざまなデータを比べた時に生じる絶対値の差分はそれほど大きな問題ではなく、傾向値や相関関係がわかれば施策が考えられる部分もあるので、マインドセットを変えていくところが重要だと感じています。

100IDを付与していただいているので、観光やスポーツなど様々な所属で使われています。また、職員ポータル上に仮想的なDXコミュニティーを作成しましたので、活用方法なども共有しながら、全庁的に更に活用を進めていきたいと考えています。

- どうもありがとうございました!

※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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