活用事例:株式会社U-NEXT
活用事例
株式会社U-NEXT
DS.ANALYSISで新規獲得の広告効果を最大化
「ひとりひとりに、最高の時間を配信する。」をミッションに、日本発の動画配信のパイオニアとして、2007年からサービスを提供。今回は、マーケティング部部長、前田弘之様が、2021年7月のYahoo! JAPAN DATA Conference '21夏 に登壇されたセッションを再構成しています。
前田 弘之様
巨大資本に効率で勝つ
- 普段の業務について教えてください
前田様:U-NEXTの新規ユーザーの獲得と、サービス自体のブランディングを引き上げるために、外部広告や他企業様とのパートナーアライアンスを検討し、推進していくのがミッションです。
- コロナ禍でおうち時間が長くなり、ユーザーさんが増えたのでは?
前田様:はい。しかし、動画配信サービスの市場はレッドオーシャンと言っても過言ではない熾烈な競争市場です。我々のサービスの強みと目指しているところは、圧倒的なラインナップでコンテンツ数を最大化して「U-NEXTにないものはない」といえる状況にすることです。
入り口として、グローバル企業が提供する動画サービスに加入される方は多いと思います。そのサービスを使っているうちに、自分の観たい作品を探し始め、それが登録したサービスにないと、結果的にU-NEXTにたどり着いていただけるケースが非常に多くなってきています。観たいものを探して、コンテンツベースでユーザーが結果的にU-NEXTにたどり着く、そういった流れでユーザーが拡大していると思います。
- 強大な競合に対し、マーケティング領域で工夫していることを教えてください
前田様:競合が巨大な投資をしながらプロモーションすることに対し、規模ではなく効率性を最大化することで、インパクトを最大化していくことが基本の考え方になっています。ユーザーの新規獲得やブランディングのため、広告の効率性を上げていくということです。先ほどのコンテンツラインナップ1つ1つに対してユーザーの獲得がありますが、それが集まると莫大な数になり、最大の効果が得られます。大きな点を作るよりも、面を作りにいくイメージです。その効率性を上げて面をどんどん広げていきたいと考えています。
ユーザー獲得を低コストで継続的に
- デジタルではどのような広告配信をしていますか?
前田様:デジタル広告は最大限活用しています。ヤフーとの取り組みでは、検索エンジン連動のリスティング広告とディスプレイ広告の2点が大きなポイントです。検索という行動は、ユーザーがそれを欲している時に出る顕在的な行動なので、そのタイミングで「U-NEXTにその作品はありますよ」とお知らせできるのは大きな機会だと思っています。
ヤフーのリスティング広告・ディスプレイ広告では、U-NEXTの新規ユーザー獲得が目的です。作品それぞれに対してのニーズマッチングを行いながら、例えばAというタイトルを検索したユーザーに、「Aという作品がU-NEXTにあるよ、配信中だよ」ということをお伝えするといったロングテールのユーザー獲得アクションを実施しています。
ユーザー獲得当たりのCPAがユーザーから得られるLTVを超えないことを前提に、広告を最大化していく必要があるのですが、このCPAを改善することで、ロングテールな取り組みを最大化していくことができます。結果として、さらにリーチ・広告投下量も増やすことができ、ユーザーの獲得もそれに伴って増えていくという構造です。この活動を最大化することで、新規獲得の最大化につながると考えています。
広告の最大化にDS.ANALYSISを活用
前田様:この取り組みをグレードアップするため、DS.ANALYSISを活用しました。効率性を改善する手段の一つは、より広告にマッチしたユーザーを見つけることです。改善のためPDCAを繰り返していたのですが、さらに良くするためには違う切り口が必要だと考え、人々が持つ習慣・性質に着目しました。
具体的には、広告に反応しやすい人たちを探したのです。まず、U-NEXTの過去の広告アクションとヤフーのユーザー群のアクチュアルな行動データを照らし合わせ、どういうユーザーがU-NEXTの広告に反応し、加入してくれたのかを多角的に分析しました。
ターゲットはガジェットとお得が好きなオンライン決済ユーザー
前田様:結果として、ここにあるような「デジタル機器に興味・関心がある、ガジェット好き」という特性の方たちはU-NEXTに申し込みやすかったということが分かりました。また、「ポイント」「キャンペーン」というような検索をする人、ある種の価格コンシャスというか、コスト意識が高い人、つまりお得情報に感度が高い人たちはとても反応が良かったのです。ユーザーさんの生活様式としては、結婚している方たちは非常に広告反応が良く、加入効率が良かったという結果もファインディングスとして得られました。
ヤフーのデータで人々のリアルに触れ、ユーザー理解が深まる
- アンケート調査とヤフーのデータで、見えてくることに違いはありますか?
前田様:ヤフーだと、U-NEXTに興味を持ってくださった方が、実際にどのようなことに具体的に興味を持って行動されているかが可視化できます。例えば、映画好きの人は映画を目的に加入いただいたと思いますが、実態としては、映画だけにとどまらずその他への興味関心が広がっているというのを確認することは多いです。映画好きの人は映画しか観ないとか、そんな画一的な話では全くない、というのが明らかに分かるのです。
DS.ANALYSISは他にも実施していますが、本当に想像もしていなかった結果や、今までの考え方を改めなければいけないと思う結果が色々出てきて、人々のリアルに触れるというのはこういうことなのだな、と実感できる機会を作っていただき感謝しています。
この、ユーザー理解の機会をさらに深掘って、広告活動最大化、効率性向上という目的に対してどうリンクさせるかが課題になってくると考えています。今までの分析結果は、全てアクションに落として実際の活動につなげていますが、もっとインパクトが出るような取り組みを、広告と連動させて実施していきたいです。