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導入事例:渋谷区

導入事例

渋谷区

渋谷区

データ利活用推進の一環としてDS.INSIGHTを採用
渋谷区の目指す行政の未来像とは

エリア分析ニーズ調査官公庁・自治体
渋谷区

行政組織にとってデータ利活用への取り組みは喫緊の課題。例えば、官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)においても、国および地方公共団体のオープンデータへの取り組みが義務付けられています。今回は「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を基本構想として掲げる東京都渋谷区のデータ利活用の現状と今後の展望を、渋谷区デジタルサービス部スマートシティ推進室の皆さまにうかがいました。

  • 大村周平様
  • 帯金将志様

渋谷区デジタルサービス部スマートシティ推進室 大村周平様・帯金将志様

産官学民連携を視野にいれて

- 所属されているスマートシティ推進室の業務内容について教えてください。

大村様:まず全体的な話として、「渋谷区スマートシティ推進基本方針」に基づいてデータやデジタル技術を活用し、渋谷に関わるすべての人のウェルビーイングやシティプライドの向上を目指すのが私たちのミッションです。現在の取り組みとしては、たとえば区の現状を可視化した「シティダッシュボード」や「オープンデータ」の新たなコンテンツ開発・更新などの運用です。たとえば庁内の各所管部署へのヒアリングや、連携している民間企業の皆さんからのデータ提供から、ダッシュボードなどを作成しています。そのなかの1つにヤフーさんのDS.INSIGHT(以下・DSI)で取得できる人流データを使用した事例もあります。

加藤様:少し補足すると区・街にかかわるデータ利活用促進を産官学民で推進することが大きな目的のひとつです。ヤフーさんにも参画いただいていますが、産官学民連携を推進するうえで、今年(2023年)6月に一般社団法人シブヤ・スマートシティ推進機構(SSCA)を設立し、その活動を始めているところです。データの利活用推進については、SSCAにおいても議論をおこなっていますが、この基本指針が冒頭にお話しした2021年度に策定した渋谷区スマートシティ推進基本方針です。

渋谷区 スマートシティ推進基本方針 の画像
- DSIの導入経緯を教えてください。

加藤様:背景として、街の見える化をおこなう「シティダッシュボード」の開発のプロセスにおいて、さまざまな部署と「どのようなデータがあるか」というやりとりを重ねるうちに、実は街なかのデータがあまりないことが分かりました。人流データなどを得るには外部データの活用が必要だと痛感したのがキッカケです。加えて、他サービスと比較してDSIは使えるライセンスが多かったことと、検索キーワードの分析もできるというのも大きな理由です。
(※注・DSIは1契約で100ライセンス利用可能)

- 他サービスと比較して、DSIはどうだったでしょうか。

加藤様:前提として、庁内でデータを使える環境を充実させるために、多くの人が使えるツールを選択したいというのがありました。検討を重ねた結果、人の動きや人の気持ちについて、多くの人がデータを見ながら考えられるツールをというところで、DSIが一番目的にかなっていたということで使わせていただいています。

庁内で広がりをみせるDS.INSIGHT活用

- DSIをどのように活用いただいているか、教えてください。

大村様:まずはPlaceを利用した人流のデータですかね。イメージしやすいケースだと、ハロウィン対策があります。渋谷ではハロウィンに多くの人が集まることが知られていますが、安全面での懸念もあります。そこで、DSIから取得したデータを元に、今、渋谷に訪れる方がコロナの前後でどれくらい変化しているのかを分析するダッシュボードを参考にしました。ここからおおまかな人流を把握しハロウィン対策の基点のひとつにするというアプローチです。

加藤様:DSIの導入から数年たち、人流を扱えるという認識は、育ってきていると感じています。Place以外の機能ですと、たとえば、DSIのPeople機能(検索データを分析)の活用方法について、福祉分野で検索データの分析を行うことで、対象のキーワードに対して、人が何を考えているか、何を知りたいのかを分析し、広報ポスター作成の参考にした、というような活用事例もありました。

渋谷区の人流 の画像

「CITY DASHBOARD」より-渋谷区の人流

- DSIの利用率についてはいかがしょうか?

加藤様:庁内の職員それぞれがDSIを使い始めているというところでは、想定以上の広がりも感じます。ただ、もっとこんなふうに使えるという活用方法の紹介や研修などがあれば、さらに広がるのではないかと感じています。

- 導入した後の庁内全体の反応はいかがでしたか?

小林様:ネガティブな意見はなかったと思います。逆に昨年度のことですが、落書き対策などを所管している部署のメンバーが、ヤフーさんの動画なども参考にして、どうやったらPeopleで有効なキーワード設定ができるかなどを、すごく研究していた例もあります。私はポジティブな感じで使っているように見ています。

教育・スキル向上のための課題

- 先ほどリソースの限界というお話もありましたが、ヤフーへの要望はありますでしょうか。

加藤様:検索キーワードや人流データを、どのように啓発活動や、集客活動に使えるのか、またイベントの企画や効果測定のために使えるか等、行政に特化した活用法の紹介があると大変ありがたいなとは思います。

- ありがとうございます。そういうお声はとても参考になります。

加藤様:あと、以前データ分析の研修の際、「データの見方や分析について若干、間違った認識をしていたという気付きがあった」というアンケートの回答がありました。DSIがツールとして見やすい分、解釈の間違いなどが出る可能性もあると私は思っていまして、データの見方や分析について、使い方だけではなく「ここを見誤ると危ないよ」といったベーシックなものもあったほうが助かります。

- なるほど。研修・教育に関して他にご意見はありますか。

加藤様:研修用のデータセットはあるけれども、実際に普段使うデータと関係ない場合、ただの勉強で終わってしまうことがあると思います。そこで、たとえばDSIを使いながら、自分の所属する自治体の特徴や、他自治体の比較分析をしながら分析の基本を学ぶと、よりこのツールの有用性や、注意点などが理解しやすいかなとは思います。

協働のためのプラットフォームがダッシュボード

- 次に渋谷区のシティダッシュボードについてお聞かせください。シティダッシュボードとはどのようなものなのでしょうか。

加藤様:スマート化やDXについて提案いただくことも多いのですが、その際にいつも聞かれるのが、「渋谷区の課題は何ですか」という質問です。そこで、まずは区の現状の見える化からはじめようというのが、シティダッシュボードのスタート地点です。産官学民連携を推進するための第一歩のツールとして使っていければいいなと思っています。

東京都渋谷区「CITY DASHBOARD」 の画像

東京都渋谷区「CITY DASHBOARD」より

- シティダッシュボードの利用状況や利用方法はどのようなものでしょうか。

大村様:アクセスは月間約3000位です。

加藤様:シティダッシュボードの一つに、「ごみ・資源の状況」というものがあります。このダッシュボードを見ると、昨年度から開始したプラスチックの分別回収が街にどういう影響を与えたのかというのが見えてきます。これからの行政においてPDCAを回していくことは必須ですし、その一環として区民の皆さんにもしっかりと伝える必要がある。そのようにPDCAを回すなかで、「これも新しい課題じゃないですか」といったような提案をいただき、最終的には新しい取り組みを一緒に創り出していくのがゴールです。

- シティダッシュボードのリリース後、他の自治体の方々の反応はありましたか。

加藤様:いろいろな自治体や企業に興味を持っていただいておりまして、新たな対話や取り組みのきかっけとなっています。他の自治体とお話しすると、「データ活用を進めなければと考えているが、なかなか第一歩を踏み出すのが難しい」という声をよく聞きます。

- 渋谷区ダッシュボードについての将来的なビジョンなどを教えてください。

加藤様:今後は、データを「見てわかる」という段階から、次をアクションに活かしていくということに、つなげていきたいと考えています。

大村様:私は民間企業からの出向という形で在籍していますが、官民連携の強化にはデータ利活用がカギになると感じています。行政側では、データ分析に慣れている人や環境がまだまだ不足しています。民間側がなにか連携事例を探すとき、まずは行政がどういうことをやっているのか?がダッシュボードで可視化されていると分かりやすいし、じゃあ次はこんなことができるんじゃないか、とアイデアが出てきます。たとえば東京都がハッカソンを開いていて、これはオープンデータを活用し、外部のエンジニアやプランナーなどが行政課題の解決に向けたデジタルサービスを企画・開発するイベントですが、こういった活動をするための出発点がダッシュボードだと思っています。

- 本日のお話をお伺いして、他のエリアや自治体でも同じようにデータ公開が進んでいけば、データ利活用の可能性がさらに広がっていく印象を持ちました。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
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