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導入事例:慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)

導入事例

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)

慶應義塾大学SFC

研究と教育でDS.INSIGHTフル活用!
慶應義塾大学が進めるデータサイエンス教育の最前線

データ教育効果検証教育・研究機関
慶應義塾大学SFC

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)では、「情報と社会のデータサイエンス」の授業においてDS.INSIGHTをご導入いただいています。研究用途としてご自身でもご活用いただいている慶應義塾大学大学院の田代光輝様に、研究と教育での活用事例について伺いました。

田代 光輝 様

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 田代 光輝 様

- 以前は民間で働いていたとお伺いしました。

現在の職につくまでは、民間のインターネット業界で働いていました。2003年前後の当時は「ブログ炎上」という言葉が出始めてきた時代で、インターネットのマイナスな面が取り沙汰されていました。インターネットで見聞きできる情報をもとに実際に事件が起きるなどしていて、良い意味でも悪い意味でも「インターネットの力」を実感し、そこから10年くらいかけて論文を書いたり研究に没頭したりしています。

- 田代様ご自身はDS.INSIGHTをどのような用途で使われていますか?

研究用途と自身が受け持つ授業の中で活用しました。

- まずは研究用途についてお聞かせください。

最近の研究の一つに「選挙ポスターと得票率の関係性」というものがあります。「選挙ポスターで立候補者が笑顔だと得票率が高い」という先行研究があり、それを追試するかたちで、「顔の向きは左右どちらがよいのか」「名前は左右どちらがよいのか」「名前は漢字なのかひらがななのか」ということを確認しようとしています。そこで、選挙ポスターを見たときの反応として検索データを見ています。ポスターを見た有権者が「この人はどういう人なのだろうか」と気になったときに検索数が跳ね上がるので、そこのデータを確認しています。

候補者全員のさまざまな視点からデータを集めており、大変ではありますが、新しい知見を発見できると面白いですよね。

政党名の検索数推移(DS.INSIGHT Peopleより)

政党名の検索数推移(DS.INSIGHT Peopleより)

- 研究ではSNSの投稿も調査されていると思いますが、SNSデータと検索データに違いはありますか?

SNSによる「発信」は発信者が意図的に操作できる世界だと考えています。発信では発信者が投稿数を自在に増やすことが可能で、1人の人が100回投稿することと、100人が1回投稿することも同じ「100回」にカウントされます。また、BOTと呼ばれる機械による自動投稿などもあります。SNS上でいわゆるバズる、炎上が起きたとしても、蓋を開けてみると少人数が何回も投稿していた、BOTが投稿していたということがあります。その様にして発信者が自分に有利な世論があるかのように見せかけることが可能です。

一方、検索エンジンは1人の人が何回も検索することの意味がありません。検索数は表に見えないので、そのような工作の対象になりづらいと考えています。そうなると、世間の関心を測るには、世論をきちんと把握できるのは検索エンジンの検索数の方がより正確であると考えています。しかしながら今までは検索数を実数として把握することが(検索エンジン会社の外からは)非常に困難でした。DS.INSIGHTではこれを把握できる点で画期的であり、世の中のニーズを把握できるのは、やはりヤフーの検索データなのだなと実感しています。

- 具体的にはどのようにDS.INSIGHTを活用されましたか?

関係のあるキーワードの検索数に関して、ニュースなどで取り上げられた時の上昇数やその後の下落率、関連キーワードとの比較などで、世の関心を推し量っています。

研究の中ではツールでグラフ化して分析するというよりは、ワードごとにCSVファイルに落としてきて結合してグラフを作っていくという作業をしています。

エクセルでまずはデータを整形し、回帰分析したり、R(統計分析ソフト)に落として扱ったりしています。

作業自体は他の方に手伝ってもらうこともありますが、特に手ほどきなく扱うことができていますね。

- どのようなところにDS.INSIGHTの魅力を感じますか?

検索のデータを地域属性ごとに見られるのはとても便利ですね。

「ここまでできるのか」と大変驚きました。SNS系のデータは他社でも見られるものがありますが、利用のしやすさ、正確性などでDS.INSIGHTの優位性を感じています。検索数が実数で把握でき、10件単位で出すことができるので、正確性がありますよね。この実数が出るというのが自分にとってはとても強いメリットです。他社のツールだと相対的な数字しか見られないものもあるのですが、相対数だと論文を書く上では参考になりません。さらに、DS.INSIGHTですと、「日別の実数」という細かいところまで調べられるので、検証用としては一番強いツールだと思います。

一方で、ヤフー内の検索数ということで、どうしてもヤフーのシェア、ユーザー層に左右されてしまうところがあると思うので、そこは他社のツールでも検証するようにしています。

教育現場におけるDS.INSIGHT活用方法

- 大学ではどのようなことを教えているのですか?

データサイエンスの授業を持っています。SFCではデータサイエンスは必須となっており、さまざまなデータサイエンス授業の中から選択制となっています。

私の授業の中では「データを使って、意思決定者に対して、どう意思決定を促してしていくか」ということを伝えています。

例えば卒業後出版社に入社したとして、「検索数が多い有名人ほど、写真集が売れることが分かった。だから次の写真集は○○さん出そう」ということを主張できるかどうか。データさえ整っていれば新入社員だって主張でき、大きなビジネスを動かすことができます。要するに「データをきちんと使えば、たとえ新人でも、意思決定者に対して、最適な決定を促すことができる」ということを学んでほしいと思っています。

- 今回DS.INSIGHTを使われた授業の内容は具体的にどのようなものですか?

前期授業の4月・5月ぐらいまでは本当に統計の基礎をやります。数学が苦手な学生でも知らず知らずのうちにレベルアップできるように、難しい専門用語などは使わず誰でもわかりやすい授業を心がけています。また、なるべく学生が興味を持ちやすいように、坂道グループの話題などを取り入れるなどの工夫をしています。

6月・7月は実際にデータを触って分析してみましょうということでDS.INSIGHTを学生一人一人に渡しました。ただし、ただ渡しただけではおそらく何もできないので、都議選のデータと、坂道グループの写真集を出した方の検索データをDS.INSIGHTから引っ張ってきて、こんなふうに分析すると未来が予測できるよという手本は見せています。特に分析する手法は個人的に変数減少法と重回帰分析を中心にしています。あとはプレゼンテーション資料の作り方や、分析結果の伝え方などを重点的に教えたという感じです。

グループメンバー名における検索数比較(DS.INSIGHT Peopleより)

グループメンバー名における検索数比較(DS.INSIGHT Peopleより)

検索データを用いた写真集の売り上げ予測図

検索データを用いた写真集の売り上げ予測図

今年度の授業は全てオンラインでした。DS.INSIGHTの使い方も動画で撮り、ログインやダウンロード、あとは数字の整形や集計の仕方など全部見せています。またRを利用して自分の興味・関心に対して変数減少法と重回帰分析で結果を出すにはどうすれば良いかなどもお伝えしています。

YouTubeによるオンライン教材の一部

YouTubeによるオンライン教材の一部

- DS.INSIGHTを活用するにあたってどういったところに期待がありましたか?

去年までは授業用としてダミーデータを用意して使わせていました。現実とは違うデータのため、計算すれば有意差やはっきりとした結果が出るようにしているのですが、あくまでも偽物です。ただ、その結果をそのまま現実のものとして鵜呑みにしてしまう学生が中にはいました。なんとなく世の中がわかった気になってしまう。

以前、スマートフォンの利用時間と勉強時間の長さがテストの成績にどう結びつくかをテーマにした際、わざと「勉強時間が長い人はスマートフォンの時間が短い」といったデータを作りました。すると、「スマートフォンを使う時間が短ければ成績が伸びる」といったレポートを書いてきてしまうのです。あくまでもダミーデータなので現実とは異なります。

そういった背景から、そのままダミーデータによる結果を信じられたらいやだな、と思うようになり、「より実践的で本物のデータを見せたい」そういう気持ちがありDS.INSIGHTを採用してみようと考えました。

- 学生さんに変化はありましたか?

想像以上に良かったです。レポートの質が格段に上がった気がします。
よくある反応として、ここの操作がわかりませんという問い合わせはほとんどありません。メールでたくさん来たのが、DS.INSIGHTをもっと使わせてほしいというものでした。

それはお金がかかるんだよ、と(笑)

そういう意味では、DS.INSIGHTのすごさに皆気づいたのかなと思います。やはり自分の興味・関心に照らし合わせて実際に触ってみる、そして、データを基にいろいろなことを考える。分析手法をある程度身に付けられると、データを基に説得力を持って発信できるというところはおそらく実感できたのでは、と思います。

自分の興味と関心があるところの深堀というのがすごくできたなと、そういった印象があります。

- 具体的に学生さんの反応があれば教えてください。

いくつか感想をいただいたのでご紹介します。

● Jリーグの運営と戦績についての分析(学生Aさん)
サッカー観戦が趣味で、J1リーグに注目しました。授業の最終課題の目標は重回帰分析だったので、「経営面から戦績向上のためにできることは何か」という疑問から検索数や売り上げ、戦績の相関を調べました。
やってみたところ、
Jリーグは資金と強さの相関が弱いことに驚きました。
提案の部分ではデータだけでなく、実例などを考慮したある意味文系的な思考も必要なのだと気づきました。
ツールでは、膨大な検索数を一度で多く集められる点は魅力的だと思いました。

● 地震と防災についての分析(学生Bさん)
日頃から日本国民はそこまで防災意識が高くないような気がしていたため、DS.INSIGHTを使って調べられるこの機会に、人々が災害に対してどのようなことを思っているのかを知り、今後の防災対策に何かつながればよいなと考えました。
検索データを使ってみてわかったのですが、
関連ワードが少しでも変わっていたり、都道府県別で検索すると本当に違う結果になったりするので、それはなぜなのか、という問いと自分の中での答えを探すことを工夫しました。
ツールでは細かく検索データを分析できることが私にとってはすごく面白かったです。男女別、年齢別、地域別に別れて結果がでることで、なぜこの結果が出たのか、自分の中で考えを巡らすこともできました。

- ヤフーに期待することはありますか。

私は実務家教員なので、企業が様々なデータを持っていることと、そのデータの力というものは知っていました。

特に米国のGAFAMなどは圧倒的にデータを持っている企業ですが、彼らの持っているデータが世に出ることはありません。以前はこれらのデータを利用して論文を書く人がいたことで、公知になり知見が共有されていました。今はそれができておらず、結局企業だけがデータを利用して発展している状況なので、それはちょっと危機的だなと感じていました。ヤフーさんがこのようにDS.INSIGHTでデータを利用できるようにしていることは、社会的意義があるとだと思います。

あとは検索の流入元を知りたいですね。自然検索なのかニュース検索なのか、PCなのかスマホなのか、どういう経路か分かればさらにいろいろな分析ができると思っています。

- 今後の展望があれば教えてください。

研究に関してはずっと続けさせていただいて、これからもさまざまなシーンでデータを使わせていただく予定です。また、授業利用に関しては、私が大学生の時に講義を受講していた実は元環境情報学部教授の石井威望さんのようなわかりやすい授業を心がけています。石井さんは、高度な内容をわかりやすく説明されていました。石井さんの授業が終わった後、知らぬ間に自分がレベルアップしているのを実感しました。石井さんの内容に、自分の内容は足元にも及んでいませんが、データサイエンスの難しい内容であったとしても、とにかくわかりやすく、坂道グループなど緩い話題を出してはいますが、進めていくうちに実は難しいことをやっていたと気づくと思います。そして、自分の興味のあること、好きなことであれば、進んで調べ学ぶようになる。そういった教育をこれからも目指していきます。

- どうもありがとうございました!

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