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活用事例:神奈川県

活用事例

神奈川県

新型コロナ・予測モデルによる重症者数等シミュレーション新型コロナ対策の迅速化のために、複数データを活用し実現

エリア分析ニーズ調査官公庁・自治体

新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大に伴う行政の対応は、全国の自治体において困難を極めたところではないでしょうか。
今回は、さまざまなデータを活用することによって独自の感染予測モデルを確立し、当時、予測モデルに携られた、神奈川県職員の方にお話を伺いました。

- 今回の分析を行った背景を教えてください。

2021年に生じた新型コロナウイルス感染症の急拡大時に、今後の病床ひっ迫などを予測する必要が生じ、また、人流の抑制や営業制限を要請するにあたって、科学的な根拠に基づく判断や説明があるべきという方針から、2021年6月より「感染者情報分析EBPMプロジェクト」を立ち上げて、新型コロナウイルス感染症予測に係る分析を進めました。

- 実際にどのような対応をされたのでしょうか。

当時、短期間での成果が必要でしたので、予測モデルの開発には、感染者の予測に係る感染症数理モデルの基本的な考え方に沿っている「Covid-19感染予測(Google社提供)」を利用しました。このデータをもとに、重症度別陽性者数を二次医療圏等別に予測を行うこととしました。
なお、科学的根拠を踏まえ、データを用いた予測を目指し、県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクールにデータ分析等の御協力を依頼して、県と県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクールの共同プロジェクトとして対応しました。

- DS.INSIGHTのデータは、どのように利用されたのでしょうか。

開発された予測モデルは、例えば、現在からある割合の「人流」が抑制されると、地域別の「療養者」「入院者」「重症者」について、「最もよく起こる」、「最良」、「最悪」の3パターンの予測がどう変化するかなど、表及びグラフでシミュレーションが可能となりました。
また、「人流」「ワクチン接種率」等の変化の割合等が療養者数や入院者数に与える影響について、シミュレーションが実施可能となりました。
このうち「人流」の推移として、DS.INSIGHT Placeのデータを利用しました。
具体的には、神奈川県下の58市区町村について、DS.INSIGHT Placeより各地域外からの来訪者数データを定期的に取得し予測モデルへ投入することによって人流が感染拡大に影響するかの予測を可能とし、予測モデルを支える最も重要な情報として利用しました。

- 開発にはどのくらい時間がかかりましたか。結果はいかがでしたでしょうか。

6月に「感染者情報分析EBPMプロジェクト」を立ち上げてから、8月に簡易モデル、9月に主要モデルを段階的に開発し、「新型コロナ・予測モデルによる重症者数等シミュレーション」として公表しました。
過去のデータをもとに予測に係る品質評価をしたところ、二次医療圏単位で予測したデータは、結果とほぼ合致しました。
ただし、このシミュレーションは、「Covid-19感染予測(Google社提供)」の提供が終了したことや、2022年1月以降に感染拡大したオミクロン変異株が、従来の変異株に比べて大きく特徴が異なり感染予測が困難なため、当面の間、更新を停止しています。

- 分析にあたって、大変だったことはありましたか。

予測品質を上げるための評価に時間を要しました。例えば、市町村別、性別、年齢階級別に陽性者データと評価するなどして、適切なデータの選考を進めました。

- 今後のデータ活用について、どのような対応が必要と考えますか。

例えば、各自治体で感染症対策を検討していくには、イベントやより細かいエリア単位の人流なども活用できると、より有用性が高まると考えます。
また、今回は、様々なデータを評価しました。その際に投入したデータは、公表されている状態では機械判読性よりも視認性を優先しているものも多くあり、比較評価するまでに手作業でクレンジングを行うなど、求められている開発スピードに鑑みると、煩わしいものがありました。
このことは、データを公開し提供する立場である県の課題ともいえます。データを利用する側の立場を考えながら、Web上で提供するデータ形式や提供レイアウトを利用者目線に合せた設計にできるようなノウハウを蓄積していきたいと考えています。

※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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