導入事例:株式会社JTB
導入事例
株式会社JTB
データ分析から移住者を増やしたい!
地域課題の解決を一体的に取り組むJTBの策とは⏤⏤
株式会社JTBでは、地域課題の解決を支援するため、ヤフーのDS.INSIGHTを活用されています。
今回は、ツーリズム事業本部の 北邨 昌子 様と 平井 啓介 様に、その活用内容についてお伺いしました。
北邨 昌子(きたむら しょうこ) 様 平井 啓介(ひらい けいすけ) 様
まずはツーリズム事業本部 エリアソリューション事業部の 北邨 昌子(きたむら しょうこ) 様にお話しを伺いました。
- 北邨さんの業務内容について教えてください。
地域の観光地デジタル化支援、自治体・DMO様などをお客様として主にデジタルマーケティングの領域で支援を行っています。自治体・DMO様に直接向き合っているのは全国の支店に所属する営業担当者ですが、本部組織としてその裏方の役割を担っています。
- 本部組織の方と各営業担当者の方の業務内容の違いについて教えてください。
各地域での課題は何なのか、今何を求めていらっしゃるかということについてヒアリングを行い、課題解決のための企画提案を行って、それを実行するということを営業担当者が行っています。その営業担当者の伴走支援を行うのが私たちの役割です。
観光の領域でもデジタルマーケティングへのニーズは高まっており、ヤフーをはじめとするソリューションの選定や、それらを効果的に活用するための支援などを私たち本部が担っています。
- DS.INSIGHTを導入した背景を教えてください。
観光地のマーケティングにおいて、各地域のことは営業担当者がとてもよく理解している一方で、個人の経験則に頼ってしまっているケースがしばしばあります。仮説を裏付けるものが必要であると感じていました。
日々の多忙な営業活動の中、できるだけ簡単に、自分たちの仮説を裏付けられたり、検証したりできるツールがあると、営業担当者にとって大きな武器になるのではないかと考え、ヤフーのソリューションを導入させていただいています。
- 各営業担当者の方がDS.INSIGHTを使うケースもあれば、本部の方が使われるケースもあるといったところでしょうか?
おっしゃる通り両面あります。
私たちの役割としては、全体のリテラシーの底上げみたいなことが大切だと思っています。DS.INSIGHTの活用事例の紹介や、利用方法のセミナーを実施し、全社に向けての情報発信を行っています。
- 恐らく試行錯誤の段階だと思いますが、データ分析のノウハウを全国の営業担当者の方にはどのようにうまく共有されているのでしょうか?
そうですね。社員が日常的に使用している営業管理ツールを活用し、セミナー開催情報を発信したり、営業担当者が自身の活用例を紹介したりしています。
- DS.INSIGHTの活用シーンとして、内容や傾向などありますでしょうか?
自身の営業エリアについて、そのエリアへの来訪者分析だとか、エリアの主要観光スポットや特産品についてのキーワード分析を活用することが多いです。
共起マップで主要な観光スポットと一緒にどういった単語が検索されているかを調べることで、観光客が何を目的にこの地域を選んでくれているのか、あるいは競合になりそうな地域との違いは何か、といったことを探ったりしています。
- DS.INSIGHTのPlaceとPeople、両方使っていただいている形なのですね。利用されている本部の方・現場の方の反応はいかがでしょうか?
自身で簡単に分析ができ、企画提案の根拠となるような情報を得られることは、大変便利だという意見を聞くことが多いです。
- 現場の方、お客様からの反応について聞かれたことはありますか?
議論の入り口にデータがあることってすごく大事だなというのは、お客様と話をしながらよくわかりました。データがあると、仮説を立てたり検証したりといったことがスムーズで、議論が活発になるように思います。
- 何もないところからターゲットを見いだすのは非常に困難なところだというふうに思います。DS.INSIGHTでデータ分析を始める際の第一歩やコツみたいなところはありますでしょうか?
仮説を立てておくことが大事かなと思っています。そうすることで分析結果が予想通りであっても、予想と大きく外れていても、深掘りしていくことができるように思います。また、比較対象を持っておくことでも、より具体的な分析ができるのではないかと思います。
- 北邨様が本部組織の方として、さらにデータを活用していくという点で、今後の展望をお伺いしてもよろしいでしょうか。
マクロに地域を俯瞰する、ということは現在の機能である程度できているように思います。人の趣味・嗜好(しこう)、あるいは気持ちみたいなところまで掘り下げて、その地域の魅力とマッチするペルソナを明確にする、というようなことができたらいいなと思っています。
- 北邨様、どうもありがとうございました!
続いて、ツーリズム事業本部 福島支店 地域交流・コミュニケーション事業担当の 平井 啓介(ひらい けいすけ) 様にお話しを伺いました。
- 平井様の担当エリアを教えていただけますでしょうか?
基本的に私は福島県の浜通りエリアの担当をしており、主に12市町村を中心に浜通り沿岸にお伺いする機会が多いです。
- 平井様の業務・役割について少しお伺いさせていただいてよろしいでしょうか?
私は地域交流といわれる領域に携わっていて、地域への誘客と、それを通じて地域にお金が落ちる仕組み作り、地域マーケティングというと大げさかもしれませんが、そのような事業を担当しています。
最近では主に浜通りの帰還困難区域の解除に伴っての移住・定住促進や、浜通りに限らず福島県全域でいうとインフラツーリズムという少々マニアックな路線のものも含めながら、浜通りを中心に福島県へどう人を呼び込むかということついてさまざまなテーマで取り組んでいます。
- 実際に地域交流のマーケティングとして実施される手段や方法について教えてください。
コロナ禍を経て、その手法は変わってきているように感じます。例えばこれまでは直接、自治体がどこかのフォーラムに参加してPRする、あるいはツアーを組んで誘客を図る、といったリアルでのコミュニケーションが非常に多かった印象ですが、このコロナ禍を経て、どんどんデジタルにシフトしてきているような印象です。
- これからはまたオフラインイベントなどが増えていく見込みの中で、両方をJTBさんとしてはソリューションとして提案される形になっていくのでしょうか?
そうですね。リアルな旅行も1つの手段でしかないと思っています。オンライン・オフライン含め、それが本当に有効な手段であるのか、データマーケティングも意識をしながら、お客様への提案を行っていければと思います。
- DS.INSIGHTを利用しようと思った背景と、その利用シーンを教えていただけますか?
最初は、本部からDS.INSIGHTというデータ分析ツールを使いたい人、という呼びかけがありました。使えるなら使ってみたいなというぐらいの、興味本位で手を挙げたというのがDS.INSIGHTを利用するきっかけでした。データマーケティングにもともと興味があり、いろいろと触れてみたいなというのはもともと考えていて、他社の無料ツールも試したり、軽い感覚で取り組んでいました。個人的な興味の延長に、会社からDS.INSIGHTの利用についての発信があったので、これは面白そうと思って使い始めた、そのような背景です。
- 無償のツールとDS.INSIGHTの違いについて感覚を教えてください。
共起マップの部分や上昇キーワードの部分などが、すごくいいなと思います。
特に共起マップですかね、検索ボリューム(検索人数)が無料のツールですとどうしても100人から1,000人みたいなかんじで幅の有る表記であることが多いので、それが具体的な数字としてランキング化されて見えることや、必要に応じて位置を変えることが出来るところがすごく気に入っています。私も勉強しながら模索し続けているところではありますが、無料のツールとは使い勝手が大きく違うなと思っています。
【共起マップ】「福島」と一緒に検索されたキーワード(DS.INSIGHT Peopleより)
【上昇キーワード】指定した期間内で「福島」を含む検索ボリュームのランキング(DS.INSIGHT Peopleより)
- 平井様はDS.INSIGHTを触りだして今期間的に言うとどれぐらいでしょうか。
そうですね、3・4カ月ですかね。
- 福島県12市町村への移住促進に向けての提案に際し、資料作成にあたって何か不安な点はありませんでしたか。
そうですね。この資料は私がDS.INSIGHTを用いた初の提案でした。
移住促進という言葉がすごく抽象的な言葉でもあるので不安でしたけれど、誰もこの手の提案を見たことがないということが改めて判明しました。
実はこの提案書を作成する手前の段階で、担当者の方にDS.INSIGHTからこういうことが見えるんだよ、と少し見せた時に、こういうのは面白いねという話をいただいていたので、肌感を掴んだ上で、提案書としてまとめました。なので作成する時にはそんなに不安感はありませんでした。
- こちらのプロジェクトの中でDS.INSIGHTを今どのような形で使われているかというのをお伺いしてよろしいでしょうか。
私は移住促進のミッションを与えられておりますが、福島県12市町村の帰還困難区域の解除に伴っての移住促進は、国や県としても推進されている背景があります。どのような形で中長期的に移住促進に向けて取り組むべきかということについていろいろと模索をし続けてきたところです。
福島県12市町村は帰還困難区域の解除時期に差があるため、移住促進に向けた取り組みにも差が生じています。それぞれの横連携や、どういうあり方がいいのかとか、移住を検討されている方々のニーズとはといったことが、データとしてはまだ蓄積できていない状態でした。データが不足している中で現状把握のためのツールとしてDS.INSIGHT用いながら相手方と対話を重ねつつ、コミュニケーションツールとしても用いているような現状です。
- 具体的にどのような提案でしょうか。
移住者獲得に向けた現状把握として資料に差し込んでいます。例えば男性は定量的な、お金とか仕事の話が多いよねだったりとか、比較的女性は、離島に対する憧れが見えていたりしています。ただ一方で、大きく円で囲っている部分では、例えば失敗とか後悔とか、ちょっと定性的な要素も検索ボリュームとして見られるなというところがあったので、男性と女性、定量と定性でちょっと違うような印象を受けますね、みたいな話をしています。
こういったツールを用いてデータをお示しつつ、議論を12市町村広げていけているような状況でした。
移住者獲得に向けた現状把握
- 福島県12市町村の皆さんへのいろいろな働きかけが必要な中で、この資料が対話や議論のきっかけになっている感じでしょうか?
間違いなくそうですね。ここから、例えば男女比で比較すると、女性がやや多いですねみたいなこととが分かります。これに前提としたときに、移住体験ツアーを数回行っているのですが、それぞれ参加者層の属性ってどうなのだろうかみたいなことが話題となり、実際のツアー参加者の属性とはどういうギャップがあったのだろう、そのギャップが生じる要素はどこにあるのだろうみたいなことでよく議論しています。
共起マップで見ると、セカンドライフを意識している方が多いだろうなというのはあるのですが、実は各自治体が求めているターゲット像は20~30代だったりするので、やはりそこでギャップがあります。
生産人口を高めたいという需要は理解できますが、実際にこのように顕在化しているところというのはこういった層なのですね、というところを改めてDS.INSIGHTを基に確認したところです。あと、顕在層ではない潜在層に向けたアプローチをどうすべきなのかというところの議論を、今一生懸命進めているところです。
- 潜在層の掘り起こしはDS.INSIGHTも含めて重要な要素として進めていくという今後の方向性みたいな形でしょうか?
そうですね。時系列で見たときに、こういう検討をしている人がどういう検索行動をとっているか、みたいなところを深めていくことで潜在層についての分析を行いたいなと思っています。
- その他、DS.INSIGHTを活用して提案したいことなどはありますでしょうか?
DS.INSIGHTを使う中で、お客様がこれを売り出したいと思っているものと、実際に検索されているものとの間にギャップがあることに気づくことがあります。どういうプロモーションをしていくべきなのかということについて、そういったデータを用いた提案をしていきたいと思っています。
- データマーケティングにもともと興味があった分、ご自身でのDS.INSIGHTの使用頻度は高いと思いますか?
業務中というよりかは、仕事が終わってからも趣味みたいな感じでよく触っています。
若干変態だなと思うのですが(笑)
自分が携わっているエリアとか、福島県で検索したときにどういう共起キーワードがあるだろうというのを他県と比較したりとかというのをしながら、日々新たな発見を楽しんでいる感じです。
- ありがとうございます(笑)移住促進という開拓の余地が多分にある領域の中で、人々にさまざまな提案をするというのは、DS.INSIGHTを活用してみると非常に楽しいというイメージが大きいですか?
そうですね。もう楽しみでしかなくて、今まで見える化できていない要素を可視化できるというところに非常に価値があると思っています。
その提案内容が、私見じゃないですよということがこと言える、DS.INSIGHTから得られたデータをエビデンスとして、こうですよねとか、こう仮説立てできますよね、みたいなことが言えるのは、非常に楽しく安心できます。
- 自治体の持つ20~30代の層を移住者として呼び込みたいという考えとは逆に、DS.INSIGHT上ではセカンドライフを模索するような人物がよく検索されているという状況があるというところで、その差を埋めていくような考えとかはありますか?
その層には認知されていないエリア・自治体ということになりますので、残念ながらあまり検索もされてないというのが現状です。こういった現状から、市町村単位ではなくもう少し広域的なプロモーションをやるべきなんじゃないかというようなお話をしています。そもそもの図に現れない要素を改めていく感じですかね。
- そういった意味で言うと、先ほどの顕在層ではない潜在層へのアプローチについて深掘りしていくというところに大きく集約されていくというところでしょうか?
おっしゃる通りです。潜在層にまでアプロ―チしていくためには、各自治体単位でプロモーションでは限界があると感じています。福島県12市町村を面で捉えてどう広域的なプロモーションをしていくべきか、ということを意識しながら議論を重ねています。
- 貴重なお話、どうもありがとうございました!