導入事例:広島県総務局
公式SNSの運用を通して、県民との双方向コミュニケーション実現に挑む自治体のデータ活用とは
- ブランド・コミュニケーション戦略チームの皆さま
導入企業/自治体様について
ブランディングとコミュニケーションの一体展開
- ブランド・コミュニケーション戦略チームの設立背景と目的を教えてください。
広島県のコミュニケーション戦略とブランド戦略を一体的に展開するため、2019年に生れた組織です。県民との良好なリレーションの構築、広島県のブランド戦略の構築と実施、政策マーケティングの強化が目的となっています。
企業でいうコーポレートマーケティングとプロダクトマーケティングを一手におこなっているような組織で、広島県庁の取り組みと広島県のブランディングと情報発信を両方行っています。
SNSを介したコミュニケーションも重視しており、広島県公式SNSは、令和3年11月の段階で、Twitterは全国6位、Facebookは全国3位、LINEは全国11位のフォローをいただいています(広島県調べ)。
導入のきっかけ
誰もが直感的にデータ分析が可能
主に広島県で運営するウェブサイトやSNSのアクセス解析を行っています。ウェブサイトは、利用者の満足を高めるためPV、流入経路、流入キーワードなどの状況把握から、事業の効果検証、広告の効果検証などを行っています。SNSは、各投稿のエンゲージメントや、どういった投稿がエンゲージメントやフォローにつながっていくかの分析、広島県の発信に対するポジネガ分析などに利用をしています。
また事業によっては、目的に応じて、サイト経由での相談件数や購入数、精読数など独自の指標を設けて、状況把握やサービスの改善に活用しています。
データ活用の取り組みは前身の組織も含め、10年以上続けており、外部からも経験ある人材も招へいし、ノウハウやスキルをためています。
活用方法
読者目線で情報を発信する
- 徹底解剖! ひろしまラボ(以下 ひろしまラボ)でのDS.INSIGHTの活用について教えてください。
ひろしまラボは、県内各地の現場を取材した情報を、県民視点でわかりやすく、適切なタイミングでお伝えするサイトです。
行政と県民や県外の方へのハブ的な役割になりたいと考えており、専門用語が多い取り組みへの解説コンテンツや、各部局の事業をテーマでまとめてわかりやすく情報を伝えたりなどしています。例えば、広島県の特産品である"牡蠣"に関わる事業がたくさんありますが、それらの情報を集めてわかりやすい情報発信をしています。
ひろしまラボの小イワシの記事
DS.INSIGHTで"小イワシ"と一緒に検索されるキーワードから調査したところ、すでに情報がある"レシピ"への関心以外に、"下処理"というキーワードがあり、これを参考にしました。
"小イワシ"の共起キーワード
また、県内より県外の方からのアクセスも多く、誘導に使っている県のSNSのデータでは通常の投稿よりもリーチやエンゲージメントの高い投稿であることが確認できました。
都道府県別の小イワシ検索動向と広島県の詳細
ひろしまラボの牡蠣の記事
また、"牡蠣"をテーマにした時も、レシピなどの一般的な興味以外に、"栄養"や"効果"について興味を持つ人が想定より多いことが、DS.INSIGHTからわかりました。この傾向は、広島県民のみに絞っても確認され、栄養を引き出すレシピという内容につながりました。
DS.INSIGHTは、県のSNSやウェブサイトからは取得できない、世の中の興味関心を調査できるため、企画検討に役立っています。
効果/成果
旬な情報の発信
2021年8月末から、県の公式Twitterアカウントで"おはようございます"で始まる情報発信を毎朝行っています。これまで約2カ月(取材時は2021/11)に約60回の投稿を職員7人が日替わりで発信しており、順調にエンゲージメントを獲得しています。
この朝の投稿では、県民が時節に誇りに思うことを大切に発信したいと考えており、地域名に関わる上昇キーワードをテーマ検討に使い、共起キーワードを投稿内容の参考にしています。
"三次"の共起キーワード
広島県のtwitter投稿
ユーザーが何を求めているか、どんなことに関心があるのかなどがわかるDS.INSIGHTは、今後も県民の皆さまとの良好なリレーションを構築するために役立つと思います。
広告代理店さんとの議論のレベルが上がった
広告代理店さんから提示されたリスティングのキーワードについて、自分たちが訴求したい属性に対応したものか、事前に評価できるようになりました。その結果、広告代理店さんとの議論のレベルが上がり、より良い広告利用ができるようになりました。
意識変容や行動変容への取り組み
新聞購読層が減っていく中で、若年層に対して「県民だより」という媒体自体を認知してもらうだけではなく、記事を読んでもらい意識変容、行動変容につなげていくためにどうするかという点で活用をしています。
今後の展望
日々の小さな積み重ねで280万県民とのエンゲージメント向上
大きく言えば、280万県民とのエンゲージメント。そのために小さな答えを一つひとつ積み上げていきたいです。
まだまだ一方的な情報発信になっており、デジタルの特性と生かした双方向のコミュニケーションができていません。例えばUGCなどを活用して、インタラクティブな関係を築けるようしていきたいです。
デジタルツールがあればデータによる状況把握は容易になります。マーケティング視点でブランディングやコミュニケーションを実践していく上で、多くのヒントも見えてきます。しかしながら、基本的にやるべきことはこれまでと一緒で、地道なPDCAサイクルの実践だと考えています。
- 貴重なお話をありがとうございました。