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導入事例:ダイキン工業株式会社

導入事例

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社

組織へのデータ活用浸透のために求められるものとは

カスタマー分析機械組織活用
ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社
家庭向けエアコンや業務用空調機・冷凍機などを手がけ、開発・製造・販売からアフターサービスまでを提供する世界トップクラスの総合空調メーカーとしてグローバルで事業を展開するダイキン工業。今回はダイキン工業株式会社IT推進部IT創発グループ 松田 恭典様が、2022年11月に開催されたYahoo! JAPAN DATA CONFERENCE 2022 Autumnに登壇されたセッションを再構成しています。

ダイキン工業株式会社IT推進部IT創発グループ 松田 恭典様

ダイキン工業株式会社IT推進部IT創発グループ 松田 恭典様

「守りのIT」から「攻めのIT」へ

- 事業部と連携して事業貢献するうえで、課題や対応などを実際の例を交えてお話をうかがっていきたいと思います。まず、IT創発グループとは、どのような組織なのでしょうか。

松田様:私が所属しているIT創発グループは、IT創発グループは、当社IT部門であるIT推進部と機能子会社であるダイキン情報システム株式会社(以下DKI)の中に組成されています。
IT部門にはは、2つ役割がありまして、1つは守りという面で、SAPなどの基幹系システムの開発・運用、ネットワークや端末、O365などのインフラ整備をおこなっています。もう一つは攻めの面で、AIやRPA等の新技術やそのユースケースをウォッチし、業務へ適用することで、事業へ貢献していくという役割で、私はそこを担っています。

IT創発グループ誕生 『守り』に『攻め』を追加

事業への貢献をミッションとする攻めのIT

- 御社の考える攻めのITとは、どのようなイメージなのでしょうか。

松田様:我々は製造業ということもありまして、製品・ソリューション・モノづくりといった領域が存在しており、各領域へIT活用を広げ、攻めのIT実現を目指しています。

『攻めのIT』と『守りのIT』

製品やモノづくりにITを実装

松田様:具体的には、AI・データ活用とツール群というふたつの領域に分けて考えています。AI・データ活用が今日のお話の中心になる訳ですが、これは社内外にあるデータの分析、部品・パーツ等の需要予測、あとは、お客さまとの会話音声の分析(VoC)や、AIによるタグ付けなどの分野です。

2つめのツール群、これはいわゆる各ベンダーさんが提供するSaaSサービスが主になりますが、RPA・OCR・音声認識の議事録効率化やチャットボットなどのツールです。これらのふたつの領域をもって業務効率化・高度化を推進し、高負荷価値業務へ人員シフトを進め、 事業へ貢献していくという構図です。

IT創発グループ・現在のテーマ領域

ふたつの領域から効率化×高度化を目指す

事業部とのリレーション強化に必要なもの

- AI・データ活用について、まず事業部門へのデータ活用の推進をされていくなかで、最初に課題となった部分はどのようなところでしょうか。

松田様:課題としては、大きく下図の3つです。

データ活用の課題 事業部とのリレーション アウトプットに時間がかかる 分析できる人材が不足

事業部へのデータ活用浸透にあたっての3つの課題

松田様:先ほどのAI・データ活用とツール群の話ですが、我々はIT部門部門に属していますので、ツールの整備や展開に関しては強みを持っています。一方で、AI・データ活用は、事業部と連携して効果創出をしていく必要があり、その中で、この3つの課題が出てきました。まず初めに事業部とのリレーションです。基幹システム外の領域だったので、そこに携わる人とは接点がなかった。それゆえ、ITの知識やノウハウも薄かった。

そこで、トップダウンとボトムアップという2つのアプローチを実施しました。まずトップダウンということで、我々の組織がこういうデータ分析ができるということを理解してもらったり、ちょっと無理やり的にでも室長や部長に話を持って行って、まずは門を開けていきました。一方ボトムアップでは、実務をやっている各担当者を相手に実業務で抱えているテーマや課題をキャッチアップして、クイックに分析して見せるといったアプローチで進めました。
- トップダウンとボトムアップを、両軸を併せて一緒に進められたのは何か背景があったのでしょうか。

松田様:これは両面で進めることが大事だと考えており、片方がNGを食らってしまうと、取り組み自体がどうしてもスタックしてしまいます。弊社は結構ボトムアップ型で様々な取り組みをしていますが、プロセスオーナーである事業部のトップの理解が得られないと進められないところもあり、どちらにも受け入れてもらえるように進めたほうが効果も創出しやすいと考えています。

少し精神論的な話ですが、見ず知らずの奴が来たと思われてそうだったので、一緒に取り組むなかで味方だと思ってもらえるように、近くの席に座って業務を実施したり、無理難題やトラブルなどへもレスポンス早くこちらからも勝手に打ち合わせを入れて対応するなどそういったことを重ねてきました。

日々のデータ分析系テーマを共同で推進し、よりコミュニケーションが活性化され、リレーションが少しずつ構築できると考えています。

事業部へのアプローチ(精神論篇)

あえて泥臭いアプローチも当初は必要

データへの価値観の変化

データ分析の価値の実感から依頼がくるサイクル構築がポイント

アジャイル開発のプロセスを採用

- 次のアウトプットに時間がかかるという課題はいかがでしょうか。

松田様: AI・データ活用の場合、プロジェクトの成果を早く出すためにも、良質なアウトプットを迅速に出し続ける必要があると考えました。そのため、我々は2つの軸で進めています。1つ目は分析のプロセスへアジャイル開発プロセスを採用しています。

アウトプットのスピード

松田様:以前、私がアジャイル開発のスクラムマスターを経験したこともあり、計画を立てて分析を実施し、それをフィードバック・評価しました。これを大体2週間のサイクルで実行します。あとは日々の朝会、夕会やカンバンボードなどのツールを活用しながら進めています。現在、4,5くらいのスクラムを進行しています。

2つ目は推進体制です。事業部、我々が一体となって推進していくことが大事だと考え、体制を構築していきました。スクラムのイベント以外でもテーマ全体の進捗を一緒に行ったり、日々の課題を確認したりして、意思疎通を図っていきました。

-従来のウォーターフォール型と呼ばれる上流から下流へという進め方ではなく、アジャイル開発により単位を分けて進め、スピードを加速するやり方なのかなと思うのですが、このような開発手法を分析・データ活用に採用した背景は何かあるのでじょうか。

松田様:データ分析は、結構掘れば掘るほどインサイトが出てきたりして、どこで止めてアウトプットを出したらいいのか定義しづらかったりします。そのため、アジャイル開発のように決めた期間で何をゴールにするか、それをどうやって実施するかをチーム内で合意形成して進めるようにしています。また、スプリントごとに分析に対するアウトプットも明確になりますので、そこも意識して採用しました。

データ分析の内製化促進とリスキリングへの取り組み

- では、最後となる人材育成に関してはいかがでしょうか。

松田様:弊社では、2017年12月に大阪大学と包括連携の一環でダイキン情報大学という社内大学を設立しております。R&Dが中心となって工場敷地内の研究施設の一部を、講義ができる体制に整えています。ここで2年間AIやデータ分析に関する技術者を育てており、2023年度までに1,500人を育成する予定です。ここの卒業生は、卒業後に各部門へ配属されており、私のグループにも複数名来ています。そのメンバーが中心となって、内製でデータ分析ができるような体制を整えている状況です。
- いわゆるリスキリングといいますか、既存社員の方も勉強をする機会があるのでしょうか。

松田様:既存社員についても、自由応募という形で各部門からの募集をかけています。2021年時点のカリュキュラムとしては、3つありまして、1つがAI活用の人材を育てる、2つ目がAIの技術を分析できる人材を育てる、3つ目がシステム開発をできる人材を育てるという、この大きな枠組みがありまして、私も数年前に3つ目のシステム開発を卒業しています。

新たな人材の登用 ダイキン情報大学卒業生をアサインし、内製化

データ分析の内製化を目指し、新卒・既存社員へも教育を実施

DS.ANALYSISのペルソナ分析をプロモーションに活用

- ダイキン様には社内システムなどとシームレスに連携するDS.APIと、DS.ANALYSISという2つのサービスをご活用いただいていますが、DS.ANALYSISを活用したペルソナ分析についてうかがえればと思っています。

松田様:ペルソナ分析に関しては、我々はBtoB商材が多く、BtoC商材も量販等に卸すので、実際のお客さまが見えません。そこでYahoo!ショッピングのデータ分析からペルソナの作成を依頼しました。これは自社の商品ターゲットの仮説構築において、ペルソナの属性や行動などを可視化する目的です。
- 今回、対象商品の購買ユーザーをYahoo!ショッピングの購買データを基に抽出し分析を実施しました。分析対象の購買ユーザーの検索行動から、クラスタリングの手法を用いています。これは人の主観を含まないで機械的にユーザーをグループ分けし、性・年代別で特徴的なところや家族構成、年収などの属性データ、休日の過ごし方やデザインの趣味・思考、関連商品への購入意欲なども検索データやアクセスデータから導き出しました。この結果を見ていただいて、どのようなご感想をお持ちでしょうか。

松田様:ペルソナの関心領域はキャッチアップできたと考えています。あとは、今までも、だいたいこういう人たちが買っているだろうとは何となくは思っていたのですが、データ分析をすることで、ああ、やはりそうだったんだ、という裏付けになったり、新しい気づきもなったと思っています。実際のプロモーションでも、クラスタAに対しては、こういうプロモーションを行っていくというようなスキームを今後、取っていきたいと考えています。

自社商品のペルソナ分析

ペルソナ分析からプロモーション戦略構築を検討

- 今後こういう分析ができたらといったものがあればと思うのですがいかがでしょうか。

松田様:地域ごとの特性であったり、特に寒冷地といわれる所はエアコンがまだまだ伸びる市場なのかなというふうにも考えていますので、その実態なども深掘りしていきたいと考えています。
- 最後にまとめとして、組織の中でデータを浸透させていくうえで、今後の展望をおうかがいできればと思います。

松田様: 3つ考えていて、1つ目は現在、データ活用という点においては、事業部協業体制を確立して、スタート地点に立てたという認識で、さらに効果を創出していきたと考えています。2つ目は、やはり事業部側に事業内容やドメイン知識が集約されている面もあるので、そこを支えるためのデータ分析のプロセスなどをさらに整備していくことです。最後は、3つ目は、今回の成功事例を他事業部へ横展開していくことです。
これらを通して、冒頭の攻めのITを浸透・定着させていきたいと考えています。
- 本日はありがとうございました。
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