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導入事例:公立千歳科学技術大学

導入事例

公立千歳科学技術大学

公立千歳科学技術大学

全学でのDS.INSIGHT活用を目指す
公立千歳科学技術大学が考えるデータサイエンス教育とは

カスタマー分析データ教育教育・研究機関
公立千歳科学技術大学

公立千歳科学技術大学ではデータサイエンス教育を全学部・学科で推進しています。今回は、公立千歳科学技術大学理工学部情報システム工学科 准教授の石田 雪也様にお話を伺いました。

石田 雪也様 の画像

石田 雪也様

公立千歳科学技術大学のデータサイエンス教育

- DS.INSIGHTを導入された授業の内容について教えてください。

石田様:公立千歳科学技術大学では、データサイエンス教育をしっかり全学部・学科でやっていこうという取り組みの中で、データを学ぶ授業を必修科目を1年生と2年生にそれぞれ配置していまして、基本的な知識や技術を学びつつも同時並行でプロジェクト型の問題解決をしていくような形のカリキュラムとなっています。
私は情報システム工学科で研究室を持っており、教育工学の研究の傍ら、大学では共通教育科目のキャリア教育やプロジェクト型の教育を主に担当しています。今回、全学的に最もデータサイエンス教育との距離が近いと思われる情報システム工学科3年生の必修科目になっているプロジェクト型演習の中でDS.INSIGHTを取り入れることにしました。
履修した学生が4年生になってさまざまな研究室に行くにしても、基礎的なスキルとしてデータを扱った問題解決を経験してほしいというのがこの演習の趣旨になっています。

オープンデータだけでは物足りない?問題解決に必要なこと

- DS.INSIGHTを導入いただいた背景はなんでしょうか?

石田様:これまでの演習では国が出している統計情報や手に入った人流データを活用して、そこからわかることを分析しましょうという形でおこなっていました。実際に、今回DS.INSIGHTを利用した3年生の学生たちも、2年生の時にはそのような統計データを扱って演習を経験しました。
その時に出てきた課題の一つは、解決策までを検討するには人流データだけでは足りないということです。当然ですが人流データでは人流しかわかりませんので、人々がどういう目的でその場所に行っているのか、出張なのか旅行なのかまでは読み解くことはできません。
演習を経験した学生たちからも、「この場所で何をやっているかがわからない」「分析しようがない」などといった意見があり、データを扱う練習にはなりましたが、そこから現状を把握しさらに解決策を考えるとなってくると、やはり人々がどういうことを考えているのか、という情報が必要だなというところがありました。

もう一つは、低学年であってもデータによる根拠をもって問題解決にあたってほしいという点です。
やはり低学年であるほど問題解決についてもただのアイデア勝負になってしまうことがあります。もちろんそういった視点も必要になることはありますが、データの根拠がなく思い付きで面白い提案をしたチームが勝ち、みたいになる傾向がありました。
実社会ではデータを用いて、いかに説得力のある提案をするのかが求められます。こういった考え方を早いうちから学んでほしかったという思いがあります。

- 導入において工夫されたことなどあれば教えてください。

石田様:まずは1年生に使わせる前にデータ分析にまつわる基礎的な学力がある3年生に使わせてみて効果を見てみることにしました。
最初にDS.INSIGHTにアクセスするところと各機能の大まかな説明をしたくらいで、操作説明はほとんどしていません。大学生ぐらいであればおそらく皆さんすぐに使えるようになるのではないでしょうか。
分析課題を与えて、あとは自由に使わせてみるという流れで進めましたが、操作説明で時間を取られることがなかった分、分析テーマについては1・2時間ぐらいいろいろな検索をしました。

自由に検索ができるので、幅広い提案や発想を培うという意味ではすごく良いところもありましたが、その反面、自由すぎるが故に検索キーワードをピンポイントに当てないとほしい情報が手に入らない、みたいに苦戦することはありました。
ただ、検索データを使うコツみたいなところをわかってほしかったということもあるので、そこは時間をかける必要があるかなとは思います。

プロジェクト演習を通して

- では実際にどのような分析をされたのでしょうか。学生の皆さんにお聞きします。

学生のみなさまから:
演習では、DS.INSIGHTで課題を見つけてLINE BOTを使って解決せよということで、最終的に私たちの班では、札幌のイベント情報をLINE BOTで提供するという提案をしました。
最初は、情報を提供する地域を全国レベルなのか北海道規模なのかというふうに考えていましたが、先生とのやりとりや他のチームの中間発表を経て、ちょっと範囲が広すぎるのではないかと考えるようになりました。
直感的には札幌が良さそうかなというふうに思ってはいましたが、何か根拠は、ということでDS.INSIGHTで「札幌 イベント」と「北海道 イベント」で調べてみました。すると、やはり「札幌 イベント」で調べている人数が多かったので、この情報をもとに札幌に限定していきました。

ターゲット設定の理由 の画像

発表資料より抜粋

また、検索ランキングの上位から欲しい情報に近しいものを引っ張ってきて「こういうイベントを求めている人は他のこういったイベントも調べていますよ」といった、レコメンド的な機能を付加価値としてつけるといった試みも行いました。

LINE BOTの開発も行いましたが、開発の視点でよかったことは、データの抽出をCSVとして一気に落としてくることができる点です。そういった点はとても使いやすいなというふうに感じましたね。

発表では自分たちでは思いつかなかった分析をしている班もあり、この演習を通してさまざまな分析に触れることができたのはとても有意義だったと思います。

画面遷移図② の画像

発表資料より抜粋

学生らしさを活かしたデータサイエンス教育

- ご指導されて感じたことがあれば教えてください。

石田様:研究室の学生やゼミなどで使わせてみて感じたのが、使い方は簡単な反面、出力結果から何がわかるのかというところを分析する力というのは必要だなということです。
例えば、DS.INSIGHTを使ってもわかることが少ないケースはいくつかあると思いますが、今回みたいに自由なテーマにしてしまうと、分析に不向きなテーマを設定してしまい、その後の分析で息詰まってしまうことがあります。
データから何がわかるのかを読み解く力を養うような授業を同時並行で進めるのはなかなか難しい中、何かと答えを求める学生にとってみれば最初は抵抗があると思いますが、どう使っていいかわからないものをまずは与えてやらせてみるというのは大学生らしさもあるなと。わからないながらも自らのテーマを探求していくのは、それなりに楽しんで取り組めたのではないかと感じています。

今後の授業の組み立てとしても、地域の問題であるとか新商品の企画などを学生ならではの視点で分析させてみるといったことはしやすいのかなと感じていますし、学生の発想の面白いところがより発揮できるものになるのではないかと期待しています。

全学での活用を目指して

- 公立千歳科学技術大学では現在400ライセンスをフル活用していただいています。
今後の展望があれば教えてください。


石田様:今まさに1年生からDS.INSIGHTを使った教育を行い、ノウハウを積み上げていくような流れで動いているところです。
1年生はもう遊び感覚でもいいので、まずは観光や千歳市など地域に関するキーワードについて調べてみるなど、いろいろな知見を得るための一つの武器として知ってもらい、そこからどう説得力のあるアウトプットを出していくかを伝えていければと思っています。
2年生ではその経験を踏まえて、DS.INSIGHTから得られたデータと統計情報などを組み合わせて、より説得力のある提案をしてもらうであるとか、問題点を洗い出してほしいなと思います。
3年生では、例えば得られた結果に対して統計処理を行うであるとか、プログラム的なものに組み込んでそのデータすら使っていくといったように発展して利用できるようになると学生にとっても達成感を得られるのだろうなと思っています。

このように将来的には、1年生で初めて触れてみて、2年生でも使ってみて、3年生で集大成みたいな形にはしたいなと考えています。
さらには4年生の卒業研究においても、データ活用をテーマにした研究室も結構あるので、そういった研究ベースまでつながっていく事で、自ら進んで地域の問題解決などに取り組むところも出てくるのではないかと期待しています。
国が目指しているデータサイエンス教育のゴールには、こういった自ら進んでデータを活用する人材を育てるところにあるのではと個人的には思っています。

公立千歳科学技術大学のみなさま の画像
- 貴重なお話ありがとうございました!
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