導入事例:ブラザー販売株式会社
導入事例
ブラザー販売株式会社
コンテンツ選定にDS.INSIGHTをフル活用、ペルソナの作成ステップも公開!
ブラザー販売株式会社は、世界展開するブラザーグループの国内マーケティング会社として、 プリンターなどの情報通信機器事業と家庭用ミシンなどのホームファッション機器事業の2つの事業を展開しています。今回はDS.INSIGHTを活用したコンテンツ企画の手法について、マーケティング推進部コミュニケーション企画グループの羽田奈央様にお話しを伺いました。
ブラザーといえばミシン・・・ではなくなっています!
羽田様:ブラザー販売は1908年にミシン修理業として始まり、現在では、ミシンやプリンティング機器が主力です。昔からミシンを利用されている方はブラザーといえばミシンというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実は、国内での売り上げのうち6割ほどをプリンタ―などの情報機器で占めているなど
情報機器のメーカーとしても知られています。
私自身は入社2年目で、マス広告からデジタル広告までのプロモーション関連と、SNSなどのコンテンツ周りの企画・運営を担当しています。
ブラザー販売株式会社 マーケティング推進部コミュニケーション企画グループ 羽田奈央様
DS.INSIGHT導入のきっかけはデータ数の多さと信頼性
- なぜDS.INSIGHTを選ばれたのでしょうか?
羽田様:ヤフーの保有する行動ビッグデータを分析できるということ、データ数の多さや信頼性などからDS.INSIGHTを選びました。想定していた使い道は、社内で共有する資料に数値で根拠を付けることや、コンテンツ周りのアイデア探索です。
使い始めてからは、アイデア探索を起点に自分で思考を巡らせることもできるので、DS.INSIGHTをきっかけに自身としても強みが増えたかなと感じています。
時系列キーワードで作成したペルソナがアイデア探索に大活躍
- どんな業務に使っていますか?
羽田様: SNSなどで情報発信する際のアイデア探索として利用を始めました。SNSのメイン媒体はInstagramやTwitterです。DS.INSIGHTはさまざまな機能が充実しているので探り探りで使いはじめ、今は多数ある機能のなかで「時系列キーワード」と「共起キーワード」を使う機会が多くなってきました。
時系列キーワードでは「ミシン」を検索したお客さまの検索行動履歴を前後360日で調べることができます。その検索結果をもとにお客様の興味関心を把握し、ペルソナを想定しました。アイデア探索ではこのペルソナが非常に役立っています。
検索結果を見てみると、ミシンを検索するのは主婦や育児中の方が多いようです。「サニーマット」というものが結果に出てくるので、これは何だろう?と。調べてみると、赤ちゃんの下に引くマットのことで、多くのサニーマットを使ったInstagram投稿を確認できました。0歳児のいわゆるマンスリーフォトに活用されていたのです。Instagramでのニーズが強いのであれば、サニーマット以外にもアイテムがあるのではと考え、さらに深掘りをして調べることができました。Instagramで使われる小物は手作りできるものが多いので、そういった背景から調べる方がいるのではという観点と、つくった後の活用方法を知りたい方も多いと思うので、活用方法の紹介も念頭にありました。
「クラフト日和」トップページ
主に行ったのが、時系列キーワードで調べた結果を「クラフト日和」などのコンテンツの「こども」や「趣味」といったカテゴリに振り分けてペルソナを想定、そこから共起キーワードで、さらに深く調べて個別キーワードを探索していくという手法です。
少々お恥ずかしいですが、実際に使用しているペルソナがこちらです。
DS.INSIGHTを用いたペルソナ作成のステップ詳細を公開!
まず、時系列キーワードの結果を、ミシン検索の前後に分け、さらにミシンとミシン以外のキーワードに分解します。分解したものを「know」「go」「do」「buy」の4分類で整理しました。
【ミシン検索前】
【ミシン検索後】
ここから、自社で運営している「クラフト日和」の記事コンテンツの「こども」や「くらし」などの各カテゴリの分類ごとに特定のキーワードを仕分けします。
仕分けできたキーワードをもとに、想定できるペルソナを立てていきます。
例えばこちらの「鈴木 莉緒菜」さんというペルソナは、24歳の女性で流行に敏感。
そのほかの設定には、職業や収入、趣味や好きなテレビ番組など想像しながらなるべく細かく設定をしました。次に、このペルソナの興味があると思われる検索行動を想定して当てはめていきました。例えばこのような若年の方はInstagramをフル活用しているはずです。そこで「こども」のカテゴリでは、時系列キーワードで出てきた「サニーマット」や赤ちゃんをかわいく見せて写真をとれる「ベビードレス」などを、当てはめていきました。
数値がでるので、コンテンツもスムーズに選定できる
こういった検索行動から、写真を撮ること自体にも興味がありそうだなと推定し、「インスタ映え 写真関連」の項目を立てて、共起キーワードから、それぞれのキーワードで関連するキーワードとその検索ボリュームや性別を調べて記入していきました。
この共起キーワードから出現したキーワードをもとに、次はコンテンツを考えます。思いついたコンテンツを全て発信することは難しいので順位付けが必要ですが、このように性別や検索ボリュームの数値を参考にして判断することができるので、数値があることは非常に心強かったです。
「クラフト日和」に加えて公式SNSでの情報発信にも活用予定
羽田様:今後は、これらの資料を製品担当者へも展開し、InstagramやTwitterでのSNSの情報発信の際のアイデアに役立てること予定しています。さらに、「クラフト日和」などの記事コンテンツでは、担当者と相談していくつかのキーワードをピックアップし、記事制作の準備を始めています。
また、今回はミシンのアイデア探索というものを中心にまとめましたが、作成した資料をフォーマットとして、プリンターやラベルライターなど他のカテゴリへの展開も検討しています。コンテンツ周りのアイデア探索は、流行が移り変わるため常にアップデートが必要なので、気軽に検索できるDS.INSIGHTをフル活用していく予定です。
大きく増えたユーザーさんに感動を届けたい。ミシンの体験価値を最大化していきます!
- 最後になんでも一言のコーナーです。なんでもおっしゃってください。
羽田様:このコーナーで何をお伝えするかとても悩みました(笑)。
今、おうち時間の増大で新たに多くのニーズができているなか、ミシン需要も増加しました。マスク需要もミシンのユーザーが急増した要因の一つとみられます。なかには、ドラッグストアなどで買っていたマスクが買えなくなった代替手段としてミシンを購入したというネガティブな要素も購入動機にあるので、その方々をどのようにファン化していくのがメーカーとして今後の課題です。
電子機器で、基本的にネットワークでつながっているプリンターと違い、ミシンはネットワークにつなぐ必然性がなく、メーカーのプラットフォームだけではユーザーをとらえきれない部分があります。そこで、DS.INSIGHTのようなツールを使って、お客さまの根底にあるミシンを使う理由だとか、ロジカルというよりはエモーショナルな部分を捉えて、そのユーザーの文脈を理解するということが、メーカーには今、求められていると思います。
せっかく使い始めて頂いたミシンを手放さず、こんなことができるよ、という体験をしていただく。ミシンにはホビーの領域も当然あるのですが、誰かに何かをしてあげたいからミシンを使う、製品がハブになって人と人をつなげていけるプロダクトでもあります。縫わなくても100均で雑巾は買えるし、ファストファッションの登場で既製服もますます安くなりました。昔はミシンで誰かのために何かを縫ってあげることは当たり前でしたが、ミシンはすでに生活必需品ではなくなっています。
ただ、ミシンを購買するきっかけはいまだに、お子さまの誕生や入園、入学といったライフイベントが多いです。人生においてのミシンとの伴走じゃないですけれども、ミシンとの物語は、お客様の数だけあるのかなと思います。
今後もDS.INSIGHTを活用し、ミシンを購入していただいたお客様に、購入後も、さらに楽しんでいけるようなコンテンツを発信していきます。ものを売るということだけではなく、お客さまに体験価値を提供していきたいです。今はどうしても家にいる時間が多いと思いますが、ブラザーのコンテンツを利用していただくことで、それが家族でのコミュニケーションにつながったり、家での時間が好きになったりするきっかけになるというのが目標です。そのため、モノとしてではなくコト化をすることで人と人とのつながりを豊かにするというところでの価値をどう提案できるかを、今後も試行錯誤していきます。