DS.INSIGHTがわかる!
資料ダウンロード
お客さまのビジネスに今すぐ役立つ、データに関する最新情報を定期的にお届けします

消費者の本音が見える行動起点の検索データ分析
~セグメント連携で発見する成長機会~

事例・分析レポート

「なぜこの商品が売れるのか掴めない」「消費者の本当のニーズが知りたい」「効果的な広告訴求が見つからない」──これらは多くの小売業・メーカーが抱える共通の課題です。

従来の市場調査では、アンケートや売上データから消費者の声を聞こうとしてきました。しかし、消費者の本音は必ずしもアンケートから見つけ出すのも難しいことが多いです。むしろ、消費者が何気なく行っている「検索行動」にこそ、ニーズが表れやすいのでは。

DS.INSIGHTの新機能「セグメント連携」は、この検索行動を従来とは全く異なる角度から知ることができます。「どんなキーワードが検索されているか」ではなく、「特定の行動をした人が、その前後にどんな検索をしていたか」を明らかにすることで、顧客理解の解像度を向上させることができるのです。また行動データを起点としたペルソナ作成もすることができ解像度の高いペルソナが作成できます。

本レポートでは、セグメント連携機能の活用により、どのような新しい顧客洞察が得られるのか、そしてそれを主に小売業・メーカーの実務にどう活かせるのかもご紹介していきます。


1. 従来の分析アプローチとセグメント連携の根本的な違い

従来の検索キーワード分析

DS.INSIGHTの検索キーワード分析では、業界知識や経験、アイデアなどから設定したキーワードを起点として分析を行います。このアプローチは、設定したキーワードの検索ボリューム、関連キーワード、検索トレンドなどを把握することで、市場の動向を理解することができます。

一方で分析の起点となるキーワード選定すること自体に悩むことの声も頂くこともあり、思いついたキーワードからは消費者の実際の検索行動との間にギャップが生じる可能性があります。特に、新しい消費者ニーズや従来想定していなかった利用シーンについては、そもそもキーワードとして設定されないため、発見することが困難です。


セグメント連携による分析アプローチの転換

セグメント連携機能は、分析の起点を「キーワード」から「行動」に転換します。これは、実際に購買、来店、広告クリックなどの具体的な行動を起こしたユーザーリスト化し、そのユーザー群の検索キーワードを抽出しJourneyで可視化することができます。(ユーザーリスト自体の閲覧等はできません)

この手法の核心は、行動結果から逆算して検索動機を探ることにあります。実際に行動を起こした人の検索履歴には、その行動に至った真の理由や動機が反映されている可能性が高いためです。また、担当者の想定に縛られることなく、消費者が実際に使用している言葉や表現を直接的に把握することができます。

従来手法では見えなかった消費者の行動パターンを発見できる理由は、実際の成果(購買、来店など)に結びついた検索行動のみを分析対象とするためです。これにより、単なる興味レベルの検索ではなく、具体的な行動意図を持った検索行動に焦点を当てることができます。

活用例として、食品メーカーでの想定を見てみましょう。プロテインなどで市場分析した場合、事前に「スポーツジム」を検索する人が多い、といった解釈をすることがよくありました。しかしこのような分析はあまりにも一般的な「プロテイン」関心に特化したユーザー像になりがちという側面があります。しかしセグメント連携機能で自社のプロテイン商品購買者の検索行動を分析することで、購買前に「在宅勤務 運動不足」「デスクワーク 肩こり」「テレワーク 健康管理」といった、従来の想定とは異なるキーワードで検索している可能性が見えてくることが考えられます。

従来の広告分析とセグメント連携した広告分析


精度の高いペルソナ設計の実現

また従来のペルソナ設計では、アンケート調査や仮説に基づいてターゲット像を構築することが一般的でした。しかし、アンケートでは回答者の記憶の曖昧さや社会的望ましさバイアス(本音と建前の使い分け)の影響を受けやすく、実際の行動との乖離が生じる可能性があります。

セグメント連携機能によるペルソナ設計では、実際の行動データを基盤とします。具体的には、実際に購買や来店などの行動を起こしたユーザーの検索履歴を時系列で分析することで、その人の関心事の変化、情報収集パターン、意思決定プロセスを具体的に把握することができます。

この手法により、推測や仮説に依存しない、より現実に即したペルソナを構築することが可能になります。検索行動は個人の素直な関心や課題意識を反映しているため、表面的なデモグラフィック情報だけでなく、深層的な動機やニーズまで含んだペルソナ設計が期待できます。


2. マーケティングファネルの深層理解。見込み客から顕在層への転換

従来分析における対象範囲の課題

今回の機能を使用することで、従来の検索キーワード分析では、設定したキーワードに関心を持つ全ての検索者を対象とするため、実際には購買からまだ遠い上位ファネル層(認知・興味関心段階)の検索者も多く含まれます。

この状況では、実際の購買行動に結びつく検索パターンと、単なる情報収集レベルの検索パターンが混在してしまい、購買に直結する具体的な洞察を得ることが困難になります。また、購買意欲の程度や緊急度の異なる検索者が同じデータセットに含まれるため、マーケティング施策の効果予測や優先順位付けの精度が低下する可能性があります。


セグメント連携による顕在層分析の仕組み

セグメント連携機能は、マーケティングファネルの下位層、すなわち「比較検討」「購入・訪問」段階に到達した顕在層の検索行動が可視化されます。顕在層の行動に焦点を当てることで、購買意欲が高く、具体的な課題解決を求めている層の検索パターンを把握できます。この層の検索行動は、実際の購買決定要因や最終的な行動の引き金となった要素を反映している可能性が高く、より実践的なマーケティング施策の立案に活用できます。

この分析アプローチにより、以下のような実務的な改善が期待できます。商品開発においては、実際の購買者が求めている具体的な機能や価値を、検索キーワードから推測することができます。マーケティングコミュニケーションにおいては、顕在層が実際に使用している言葉や表現を把握することで、より響きやすいメッセージ開発が可能になります。販売戦略においては、実際の購買者の情報収集パターンや比較検討プロセスを理解することで、効果的な接触ポイントの設計ができます。

ファネルフェーズ別の分析データの選別と最適化


3. 検索キーワードの深掘り分析による潜在ニーズの発見

抽出キーワードの深堀り分析

セグメント連携機能で抽出された検索キーワードは、それ自体が消費者理解の源泉となりますが、さらにその抽出されたキーワードを起点として、更に共起キーワードや検索推移、もちろんJourney等で深堀り分析することも有効ではないでしょうか。

深堀り分析では、行動者から抽出されたキーワードを新たな分析軸として設定し、そのキーワードの検索トレンド、検索ボリュームの変化、関連キーワードの展開、検索者属性の分析などを行います。この手法により、単一の行動者グループから得られた洞察を、より広い市場文脈で理解することができます。

また、抽出されたキーワードの検索行動を時系列で追跡することで、消費者の課題認識から解決策検討、最終的な行動決定に至るまでの思考プロセスを段階的に把握することが可能になります。


ニーズ変化プロセスの可視化メカニズム

検索キーワードの時系列分析により、消費者のニーズが顕在化するプロセスを段階的に理解することができます。これは、同一の検索者が時間の経過とともに使用するキーワードの変化を追跡することで実現されます。

一般的に、消費者の検索行動は問題認識段階では抽象的・概念的なキーワードから始まり、解決策検討段階では具体的・実用的なキーワードに変化し、最終的な行動決定段階では商品名や購入方法に関する具体的なキーワードに収束する傾向があります。

この変化パターンを理解することで、各段階の消費者に対して最適なタイミングで適切な情報を提供する戦略を立案できます。また、競合他社が注目していない初期段階のキーワードを特定することで、潜在顧客との早期接触機会を創出することも可能になります。

例えば、セグメント連携機能でプロテイン購買者から「在宅勤務 運動不足」というキーワードが抽出された場合、このキーワードを起点とした二次分析により、「在宅勤務 運動不足」→「運動不足 解消 方法」→「自宅 筋トレ 器具なし」→「プロテイン 必要性」→「プロテイン おすすめ 初心者」といった検索行動の変化プロセスが見えてくる可能性があります。


4. セグメント連携で活用できるデータと具体的な業務活用方法

今回のセグメント連携では下記データからユーザーセグメントを作成することができます。

行動データとユーザーセグメント(ユーザーリスト)

広告データ(クリック・CVデータ)の活用

広告関連データにセグメント連携を組み合わせる分析では、Yahoo!広告、LINE広告配信後の具体的な反応(クリック、コンバージョン等)を示したユーザーの検索行動を分析対象とします。

この分析の価値は、広告に反応する人の特性や動機を、その人の検索履歴から推測できることにあります。従来の広告分析では、クリック数やコンバージョン数などの結果指標は把握できても、「なぜその広告をクリックしたのか」「どのような課題意識を持ってクリックしたのか」といった行動の背景は見えませんでした。

セグメント連携機能により、広告クリック前後の検索キーワードを分析することで、広告接触者の関心事や課題意識を把握することができます。これにより、より効果的な広告クリエイティブの開発や、ランディングページの最適化が可能になります。

家電量販店での活用想定では、エアコン広告をクリックしたユーザーの検索行動を分析することができます。従来は商品スペックや価格を前面に出した広告が一般的ですが、実際の広告クリック者が「電気代 節約」「省エネ 家電」「夏 暑さ対策」といった課題解決型のキーワードを多用している場合、課題解決価値を前面に出した広告メッセージの方が効果的である可能性が示唆されます。


遷移URLデータの活用

遷移URLデータの分析では、特定の行動を取ったユーザーのWeb上での行動パターンを把握することができます。これには、Yahoo!検索結果からの遷移先URL、広告クリック後の遷移パターン、自社サイト訪問前後の閲覧サイトなどが含まれます。

この分析の価値は、消費者の情報収集行動や比較検討プロセスを具体的に理解できることにあります。どのような情報源を参照し、どのような順序で情報収集を行い、最終的にどのような判断基準で行動に移すかといった、消費者の意思決定プロセス全体を可視化することができます。

また、他社サイトや口コミサイトなどへの遷移パターンを分析することで、市場における自社のポジションや、消費者が重視している比較要素を把握することも可能です。

化粧品メーカーでの活用想定では、自社の美白化粧水に関心を持つユーザーの遷移パターンを分析することができます。多くのユーザーが口コミサイトを経由してから自社サイトに流入している場合、口コミでの評価が購買決定に大きく影響していることが推測されます。さらに、口コミサイト訪問前の検索キーワードを分析することで、消費者が口コミで確認したいポイント(効果の実感、使用感、副作用の有無など)を特定することができます。


位置情報データの活用

位置情報データの分析では、アプリ利用時の位置情報を基に、特定の店舗や施設を訪問したユーザーの検索行動を分析します。この分析の独自性は、オンラインの検索行動とオフラインの実際の行動を結びつけて理解できることにあります。

実店舗を持つ小売業にとって、来店者の事前の検索行動を把握することは、店舗運営の最適化に直結します。来店者がどのような情報を求めて検索し、どのような期待を持って来店しているかを理解することで、店舗での商品配置、接客内容、販促施策などを改善することができます。

また、来店後の検索行動を分析することで、店舗体験に対する満足度や、追加で必要としている情報を把握することも可能です。これにより、アフターフォローサービスの改善や、リピート来店促進施策の立案に活用できます。

ドラッグストアチェーンでの活用想定では、店舗来訪者の来店前検索行動を分析することができます。平日昼間の来店者が「薬局 営業時間」「処方箋 受付時間」といった利便性重視の検索をしている場合、この時間帯には営業時間の明示やサービスの迅速性を強調した店舗運営が効果的である可能性があります。一方、休日の来店者が「ドラッグストア セール」「化粧品 安い店」といった価格重視の検索をしている場合、休日には特価情報や割引商品を前面に出した販促が有効である可能性が示唆されます。


購買データ(Yahoo!ショッピング)の活用

Yahoo!ショッピングでの購買データ分析では、実際に商品を購入したユーザーの購買前後の検索行動を詳細に把握することができます。この分析の価値は、購買に直結する検索パターンと、購買後の行動パターンの両方を理解できることにあります。

購買前の検索行動分析により、消費者が商品購入を決定するまでの情報収集プロセス、比較検討の観点、最終的な決定要因などを推測することができます。また、購買後の検索行動分析により、商品使用後の満足度、追加ニーズ、関連商品への関心などを把握することができます。

この分析結果は、商品開発、マーケティング戦略、カスタマーサポートの各領域で活用できます。商品開発では、実際の使用者が求めている機能改善点や新商品のアイデアを得ることができます。マーケティング戦略では、購買決定要因に基づいた効果的な訴求ポイントの特定や、購買後のエンゲージメント向上施策の立案が可能です。

食品メーカーでの活用想定では、自社の冷凍食品を購入したユーザーの購買前後の検索行動を分析することができます。購買前に「時短 料理」「冷凍食品 美味しい」といった検索が多い場合、時短と美味しさを両立させた商品であることが購買理由として重要であることが推測されます。購買後に「冷凍食品 アレンジ」「お弁当 冷凍食品 活用」といった検索が増加する場合、消費者は商品をより効果的に活用したいと考えていることが分かります。

このような洞察に基づき、商品パッケージにアレンジレシピのQRコードを追加したり、購買後に活用方法を紹介するフォローアップ施策を実施することで、顧客満足度の向上とリピート購入の促進が期待できます。
その他のデータやユースケースについては下記ご覧ください。

データの用途と詳細


行動データ起点で深まる消費者理解

セグメント連携機能は、従来の「想定キーワード→分析→仮説」というアプローチを「実際の行動→検索抽出→分析→実行」に転換し、より客観的で精度の高い消費者理解を可能にします。

この機能の本質的な価値は、消費者の行動結果から逆算して動機や課題を理解できることにあります。検索行動には消費者の素直な関心事や課題意識が反映されているため、アンケートや仮説では捉えきれない真のニーズを発見することができます。

重要なのは、この機能を単なる分析ツールとしてではなく、顧客の声を直接聞くための手段として活用することです。消費者の検索行動に耳を傾け、その洞察を商品開発、マーケティング、店舗運営に活かすことで、競合他社が気づいていない成長機会を発見できるでしょう。

DS.INSIGHTのセグメント連携機能を活用し、皆様のビジネスにおける「行動→検索→分析→実行」のサイクルを是非お試しください。

※本記事の内容は公開日時点の情報です。
お客さまのビジネスに今すぐ役立つ、データに関する最新情報を定期的にお届けします
まずはお気軽にお問い合わせください
お問い合わせや資料請求を無料で承っております。
貴社の課題解決に最適なご提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご連絡ください。