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生成AIとYahoo! JAPAN各種サービスデータを活用したAI議論システムのご紹介
- 事例・分析レポート
[アナリスト:古川 泰地]
生成AIとYahoo! JAPAN各種サービスデータを活用したAI議論システムのご紹介
マーケティング領域では、生成AIの活用が、ユーザー理解を深化させる効果的な手段として期待されています。生成AIは、模擬的なユーザーの問題やニーズへの洞察を提供できますが、その出力には一定の不確定性があり、情報が必ずしも現実を正確に反映しているとは限りません。この課題を克服し、信頼性のあるユーザー分析を実現するために、Yahoo! JAPAN各種サービスの豊富なデータを用いて、実際のユーザーの問題やニーズに基づいた出力を可能にしました。Yahoo! JAPAN各種サービスデータを最大限に活用した取り組みとして、生成AIがデータを利用して議論を展開し、指定されたテーマに沿った新たな洞察を生み出すシステムを開発しました(※2月7日時点、特許出願中)。生成AI同士の議論は、新たな示唆や興味深いアイデアを生み出す可能性を秘めています。本記事では、このシステムの概要をご紹介します。
システムの流れ
本システムは、まず既存のマーケティング手法同様、対象となるユーザーを細かくセグメント化するところから始まります。これにより、ユーザーの年齢や性別などの属性、Yahoo!検索上の利用傾向やYahoo!知恵袋の閲覧行動などの傾向を詳しく把握することが可能となります。これらの傾向を生成AIに入力し、各セグメントのユーザーを再現します。最終的に、それまでに生成されたAI同士を議論させることで、実際のユーザーの悩みやニーズに基づいた、新たなアイデアが生み出されることが期待されます。
Yahoo! JAPAN各種サービスデータを生成AIに入力することにより、実際のユーザーの悩みやニーズに基づいた出力が可能です。例えば、「自動車に求める機能やサービス」について議論した際、あるセグメントを再現したAIは次のような出力を行いました。
AI同士の議論のメリット
先日公開されたAIインタビューレポートでは、特定のセグメントを再現したAIに対する1対1のインタビューを通じて、新たな示唆を得ることが明らかになりました。それを受けて、今回の開発では、異なるバックグラウンドやニーズを持つセグメントを代表するAI同士を議論させることにより、複数のセグメントに共通するニーズを見つけ出すことを目指しました。この方法により、様々な視点を縦横無尽に探ることで、より包括的なユーザーのニーズや問題を発見することが可能です。
まとめ
本レポートでは、Yahoo! JAPAN各種サービスデータを活用して、実際のユーザーの問題や悩みを反映した出力を行なう生成AIの議論システムの概要をご紹介しました。次回のレポートでは、この手法を具体的に活用して議論させた結果をご紹介します。この手法は、セグメントを横断したニーズの抽出だけでなく、実際のユーザー調査を行うよりも迅速かつ効率的にユーザーニーズを把握できるメリットも兼ね備えています。新商品開発やマーケティングなど、幅広い活用法が考えられますので、興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。
ヤフー・データソリューションでは、今回紹介したAI議論システムだけでなく、競合比較、ジャーニー分析、トレンド分析など、様々なデータ分析と生成AIの融合による価値向上に引き続き取り組んでまいります。今後もヤフー・データソリューションをどうぞよろしくお願い申し上げます。
※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ(パーソナルデータ)については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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