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【トレンド予測検証】チュモッパはネクストマリトッツォになれたのか?~検索者の移 り変わりからトレンドの前兆を捉える~

レポート

[アナリスト:小川知紘、森琢郎]

昨年2月に、マリトッツォの流行の流れを踏まえると「次に流行るのはチュモッパでは⁉」という内容のレポートを出しました。
```
「チュモッパ」...韓国の家庭料理で、韓国のりなど様々な刻んだ具材が入った丸いおにぎり。韓国と日本の発音の違いから「チュモクパプ」「チュモッパプ」などとも呼ばれる。
```
簡易版:『次の流行りは「チュモッパ」?他人からミーハーと思われないミーハーを目指す』
詳細版:『検索者の移り変わりからトレンドの前兆を捉える』

約1年経って結果はどうなったのでしょうか・・

皆さんも感覚的にお分かりではないかと思いますが、
マリトッツォの方が圧倒的にチュモッパよりも検索されているという結果になりました。
(マリトッツォのピーク月:260,000人、チュモッパの直近月:9,200人)

検索ボリューム月次推移 マリトッツォとチュモッパ

検索ボリューム月次推移 チュモッパ

チュモッパは依然として伸び続けてはいるものの、この後の検証を踏まえると恐らくこのまま進んでもマリトッツォと同程度まで伸び続けるというのは考えづらいと思います。

これを「ダメだったね」で終わらせるのは勿体ないので、そもそも仮説が間違っていたのかなど複数の観点から検討してみました。
すると、トレンドになり切れなかった理由に加え、もしかするとトレンドになっていたかもしれない兆しも見えてきたためご紹介します。


■ユーザーの移り変わり


まず、チュモッパが流行ると考えた理由である「ユーザーの移り変わり」がどうなっているのか確認していきます。

(振り返り)マリトッツォで見えた「ユーザーの移り変わり」
初期の特徴度の順番が女性20代>女性30代>女性40代>女性50代となっており、
最も特徴的な年代が女性20代→女性30代→女性40代と移り変わっている

検索ボリューム推移と性年代特徴度の移り変わり「マリトッツォ」

ではチュモッパはどうだったのでしょうか?

検索ボリューム推移と性年代特徴度の移り変わり「チュモッパ」

するとチュモッパはマリトッツォと同じく、初期は女性20代>女性30代>女性40代>女性50代となっており、かつ、最も特徴的な年代も女性20代→女性30代→女性40代と移り変わっていることが分かります。

■どのタイミングで、なぜマリトッツォと大きく差が生まれたのか?


当初の予想通り、ユーザーの移り変わりはマリトッツォと同じパターンを辿っている様子が見て取れました。ではどこで大きく差が開いてしまったのでしょうか。
まずはタイミングを把握するため、年代が入れ替わるタイミング別に検索ボリュームを見てみました。

年代の入れ替わり月別検索ボリュームと増加率

すると、20代→30代の段階では同じくらいの検索ボリュームでしたが、30代→40代のタイミングで大きな差が生まれていることが分かります。

では、30代→40代に入れ替わるタイミングでどんな大きな差があったのでしょうか?
理由を探るべく、検索後に閲覧していたページの情報をカテゴリ化し、マリトッツォと比べてみました。

カテゴリ別閲覧ボリューム

カテゴリ別閲覧ページ数

すると、チュモッパは「店舗」「トレンド情報」カテゴリにおいて、特に大きく閲覧人数の差が生まれていることが見えてきました。
閲覧されているページ数も異なっていることを鑑みると、マリトッツォの場合は専門店などお店での扱いが増え、トレンド情報として取り上げられる機会も増えていたことがデータからも読み取れます。
一方でチュモッパは家庭内で食べられていることもあり、店舗での取り扱いは多少あるものの店舗に関する記事は増えていないことが見えてきました。

■情報の移り変わりを比べてみると...?



深堀をしていく中で、トレンドの流れを考える上では、閲覧ページを用いて世の中の情報に着目することが有効である可能性も見えてきました。
そこで、「情報の移り変わり」はどうなっているのかも見てみたいと思います。

検索後に閲覧されているページカテゴリ「マリトッツォ」

流れを見ると、マリトッツォの時は旅行→SNS→店舗(出始め)→カルディ→店舗(ピーク)→レシピ→トレンド情報→コンビニ→派生商品という流れが見られました。
旅行カテゴリはイタリア旅行に関するページが主で、マリトッツォはイタリア発祥なため、流行前にはイタリア旅行関連ページが表示されていたと考えられます。
また初期はまとまった情報も少なく、個人の感想・つぶやきレベルの断片的な情報しか存在しないため、SNSも検索結果の上位に表示され閲覧されているようです。
その後、徐々に取り扱う店舗が増えたりカルディが商品を出したりしたことで情報の載ったページも増えていき、
トレンドになってからは、コンビニでの発売や、各種派生商品も生まれたことで各種情報に移り変わっている様子が見られました。

ではチュモッパの「情報の移り変わり」はどうでしょうか。

検索後に閲覧されているページカテゴリ「チュモッパ」

すると、チュモッパはレシピ始まりである違いはあるものの、旅行・SNS→店舗(出始め)→カルディ→トレンド情報と移り変わっており、カテゴリの流れがマリトッツォと非常に似ていることが見て取れます。(チュモッパの場合は韓国発祥なこともあり、旅行カテゴリは韓国旅行の記事でした)

一方、大きく異なるのはレシピと店舗カテゴリです。
チュモッパは家庭料理であり、家庭で作る印象の食べ物、
マリトッツォはスイーツであり、店舗がきっかけで話題になったこともあり店舗で購入する印象の強い物、
といったそもそもの違いが出ていると言えそうです。


では、もしマリトッツォの店舗が増えていたタイミング前にチュモッパの専門店などができていたらどうなっていたのでしょうか。
本来は家庭料理ではありますが、例えば以下のような"外食ならではの価値"を生み出せれば、店舗で買う/食べるイメージを作り出すことも出来たのではないでしょうか。
・カップにカラフルで小さなチュモッパが数個入っており、公園の近くで購入できる
・激辛のチュモッパが購入できる
・具が大きくサイズも大きいチュモッパが購入できる。また具と食べることで野菜や栄養素が取れて健康面も解決できる
...

もしかすると、マリトッツォと同じように店舗数やトレンド記事が増えていき、結果広くの方の目に触れることで検索人数が同等にまで膨らんでいた可能性もあったのかもしれません。

もちろん、そもそもの商品の特性や始まりによって切り分けて考えないといけない可能性もあります。一方で、全ての条件が揃うケースはあまりないのではないかとも考えています。
考え方によっては、チュモッパとマリトッツォは「食べ物」「海外発祥」など一定の共通点はあったようにも見受けられます。

トレンドの流れとずれている場合でも途中から流れに合わせて施策を検討することでトレンドを生み出せる可能性はあるのか、今後も引き続き考えていきたいと思います。

■まとめ


今回チュモッパとマリトッツォを比較検証して分かった内容はこちらになります。
・ユーザーの移り変わり、閲覧ページの移り変わりには一定共通の傾向が見られた
・しかし、チュモッパの検索人数ボリュームはマリトッツォの約30分の1と、トレンドになったとは言い難い
・チュモッパは「店舗」「トレンド情報」がマリトッツォと比べて増えなかったことが大きな差に繋がったと考えられる

一方でこのような可能性も感じられました。
・トレンドの種を絞り込むうえで、この年代の移り変わりパターンは1つの基準になり得る
・同様に閲覧ページの流れも海外発祥の食品としては基準になり得る
・各タイミングの検索ボリュームや増加率を見ていくことで、過去と比較してボリュームの予測が出来る可能性がある
・どういったカテゴリの情報がどの程度見られているかを合わせてみることで、今後どの情報をどの程度伸ばすと良いかの戦略立案に繋がり、意図的にトレンド化の流れを作り出せる可能性がある

まだまだ課題は山積みですが、予測・検証を繰り返す中で確度をあげられないか検討していきたいと思います。
また実際にビジネスに活かすためには「どの程度トレンドが続くか」という観点も重要だと感じているため、この点についても引き続き取り組んでいきたいと思います。


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