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消費者理解の第一歩 ~実は違ったニーズとインサイトの見つけ方~
- 事例・分析レポート
[マーケティング担当:櫛 聖矢]
■本レポートのサマリー
■前段
「消費者理解」―これは新商品企画からサービス改善、より効果的なマーケティングに至るまで、ビジネスの最良の戦略を策定するための重要な鍵です。しかし具体的には、どのような手段を用いた消費者理解を、どの程度まで深めれば良いのでしょうか?
本レポートでは、「消費者理解」の手法について探りながら、具体的な事例と共に、現場で今すぐ活用できる視点を提供します。
■消費者理解で用いられる手段
「消費者理解」の手段として、まず思いつくのは
・アンケート調査
・インタビュー調査
・Web導線分析
・SNSや口コミ調査
などの一般的な調査手法です。
これらは消費者の興味関心を知る基本となる手段です。
しかし、様々な調査手法により消費者理解を深めようとするものの
「得られた調査結果をどの程度信用し、その結果をどう解釈するかが難しい」と言った声も聞こえてきます。
それはなぜでしょうか。
原因として考えられるのは、消費者自身が自分の求めている欲求を完全に言語化 することの難しさです。
アンケートやインタビューの結果が必ずしもその本心を反映していない、といった場面は珍しくないからです。
よって「消費者理解」を深める為には、消費者がアンケートやインタビューでは表現しきれない、
消費者が言語化出来ない部分を深く読み取る事が必要となります。
■「消費者理解」とは?
そのような背景の中で、具体的には「消費者理解」とは何を意味するのでしょうか。
一つの答えとして、「消費者が行動を起こす根源的な欲求を理解する事」と言えます。
つまり、消費者は何を欲し、それに対してどのような反応を示し、どのような行動を取るのかを理解することです。
この理解をもとに、施策や商品、サービスを提供していくことで、ヒット商品の創出や、施策の成功確率を高める事が期待できます。
■消費者理解の要素:「ニーズ」と「インサイト」
そして「消費者理解」を深めるためには、特に重要な要素として「ニーズ」と「インサイト」が存在します。
ここでは、それぞれについてスポーツ用品メーカーを例に掘り下げていきます。
「ニーズ」は消費者が自覚し、顕在化している「欲求」や「問題」を指します。
例として、アンケート調査やインタビュー調査にて、
健康意識が高く週3回以上ランニングを行う消費者達が、滑らないソール、持久性があり、長時間着用しても快適なランニングシューズなどを求めているとします。
それに対応した商品を開発提供することで理解が達成されている消費者の求めている価値を具現化します。
▶️インサイトの理解
一方で、「インサイト」は、消費者が自覚しきれていないか、あるいはうまく表現できていない「潜在的な欲求」や「感情」を指す言葉です。
例えば、ランニングをする消費者達の中に、家族を持つお父さんがいることが判明したとしましょう。
そのお父さんは、「子供に日々挑戦するカッコいい姿見せたい、カッコいいお父さんでありたい」と言うという潜在的なニーズを持っているとします。
さらに深掘りすると、「子供に模範的な存在でありたい」「家族に対する愛情や責任感」が見えてくるかもしれません。
よって、お父さんは「日々カッコいいと思われたい」のではなく、子供に対してプラスの影響を与え、子供が大人になるまでの価値ある親子の時間を過ごしたいと思っているかもしれません。
このような潜在的な欲求を発見し、それに対応するための戦略を展開することが、「インサイト」の理解と言えます。
この場合、スポーツブランドはランニングシューズを販売するだけでなく、
「親子で参加出来るイベント」や「SNSによる挑戦するお父さんのストーリー」を提供する等、消費者が求めていた「充実した親子の時間」を形成する機会をサポートすることが考えられます。
このように、「消費者理解が達成されている」という状態では、ビジネスは消費者の明確な欲求や問題(ニーズ)を満たすだけでなく、潜在的な欲求や心情(インサイト)に対応するための戦略を考案・実行することができます。
「消費者理解が達成されている」事は、これらの課題を打開し、消費者の求める体験を提供し、最終的に高い消費者満足度とロイヤルティを生み出すことができます。
■インサイトの見つけ方
それでは、「インサイト」をどのような方法で見つけることが出来るのでしょうか。
「インサイト」とは、消費者自身がまだ十分に認識していない、または言語化できていない深層の欲求や感情を指します。
それを見つけるためには、いくつかの具体的なステップ があります。
1.消費者の生活様式や行動パターンの理解 :
消費者のライフスタイル、行動パターン、趣向、価値観などを理解するための定性的な調査手法(例:消費者インタビューなど)が有効です。
2.日常の観察 :
消費者の日常生活を観察します。これにより、消費者がどのように商品やサービスを体験しているかを理解することができます。(例:SNS分析/実地調査)
3.消費者行動の解析 :
消費者の行動データを収集し、分析によりパターンやトレンドを見つけ出します。消費者が商品を購入するまでのパス、使用頻度、購入を決定する主な要因などを把握し、その背後にある意味を理解します。
4.深層心理の理解 :
行動経済学などの理論を用いて、消費者の潜在的な欲求や動機を理解します。
以上のように、「インサイトの見つけ方」は、消費者行動の観察から始まり、その背後にある深層心理を理解することと言えます。
これにより、意識していない欲求やニーズを発掘することが可能になります。
■消費者理解は様々な角度から
ここまで、「消費者理解」をインサイトとニーズという 角度から掘り下げましたが、消費者理解には多様な視点が必要です。
アンケートやインタビュー、SNSの分析などは、一般的な手段で、
消費者の声を直接聴き、明確なニーズを拾い上げるのに有効です。
しかし、これらは主に消費者が自覚していて言葉にできている欲望や問題、つまり顕在的なニーズを捉えます。
つまり消費者の真の心情を理解するためには、もう一歩踏み込み、言葉にできない潜在的なニーズ、つまり「インサイト」を探る必要があります。
今得られているインサイトを元にアンケートやインタビューの設計を見直すことで、消費者理解はより深まり、文脈を理解することが可能になります。
■最後に
本レポートでは、「消費者理解」の本質、その達成に向けた具体的な手法、そして達成した際の状況が何を示すのか、「ニーズ」と「インサイト」の違いについて解説しました。
「消費者理解」とは、消費者が口には出さない、無意識の声を洞察することです。
それは容易な作業ではないと思います。
しかしながら、施策の成功確率を高め、ヒット商品を創出するためには、「インサイト」の理解が重要であると強く感じています。
一方、「ニーズ」を正確に理解することも必要です。「ニーズ」だけでなく、「インサイト」にも目を向けることで、全体像を見ることができると確信しています。
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※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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