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位置情報分析~近隣エリアの来訪者比較分析~

レポート

[アナリスト:菅野 友理]

はじめに
皆さんは、一度の外出で色々なお店に寄ってみるタイプでしょうか?特に都会では近くに似たような商業施設が多くあって、選択肢が多くどこに行こうか迷ってしまうこともありますよね。今回は"近所にある" かつ"施設の特徴が似ている"商業施設を対象に、来訪者の属性や目的の違いを分析する事例を紹介します。

今回は分析対象として、以下の二つのエリアを対象として分析を実施します。
  • 六本木ヒルズエリア
  • 東京ミッドタウンエリア
(共通点:様々なお店がある、宿泊施設がある、イベントやライブ等の開催があるなど)

六本木ヒルズエリア 東京ミッドタウンエリアの画像

ヤフー・データソリューションでできること

ヤフー・データソリューションでは、ユーザー毎に位置情報や検索・属性データを保持しているため、位置情報と検索・属性データを掛け合わせた分析が可能です。この強みを活かして例えば以下のような分析が実施できます。

■実施可能な分析例
  • 特定エリアの来訪者に限定した分析
  • 居住地、来訪元等の位置情報を基にした分析
  • 検索・属性データを基に、ペルソナ像を把握する分析 など

分析イメージの画像

分析条件の設定

分析を始めるにあたり、まずは対象エリアを定義します。
今回は以下の画像のように赤枠で囲った部分をそれぞれ六本木エリア、東京ミッドタウンエリアと定義しました。

対象エリアの画像
これらの地点を訪れた履歴のあるユーザーを対象に、追加で以下の条件を加味してユーザーを抽出しました。
  • 対象期間:2022年の1年間
  • 対象時間:対象エリア内に15分以上滞在していた履歴がある
  • 除外条件:六本木ヒルズ/東京ミッドタウンに勤務していない
    • 今回は一般客の動向を調査するため、(Yahoo! JAPANの位置情報データから推定した)勤務者の除外を実施しております。

分析観点の整理

今後の分析の流れを明確にするために分析したい観点を事前に整理しました。
(執筆者の主観にはなりますが)それぞれの両地点のイメージを基に、分析したい項目として以下の2つを挙げました。

  • 分析観点①六本木ヒルズエリア/東京ミッドタウンエリアの来訪者の性質を把握し、来訪数や属性を知りたい。
  • 分析観点②どのような目的で六本木ヒルズエリア/東京ミッドタウンエリアに来訪するユーザーが多かったのか知りたい。

以降は、2つの分析観点に答える形で、分析を進めていこうと思います。

■ 分析観点①
六本木ヒルズエリア/東京ミッドタウンエリアの来訪者の性質を把握し、来訪数や属性を知りたい。

さて、それでは実際の分析結果を見ていきましょう。
まず、各エリアに対してどのくらいの規模の来場者があったか、日次推移を確認しました。
2022年の各エリア来訪ユーザー推移(日次)のグラフ
上記のグラフは、各エリアを訪れた人たちの推移を日別で可視化したものになります。
データから読み取れる結果としては、
  • 年間通して一番来場者が多いのは、両エリアともクリスマス付近の時期
  • 六本木エリアは8月の来場者が増えているが、東京ミッドタウンエリアにはその傾向は見られない
などが挙げられます。

また、これらの人数全てを合計して年間での来場者数で比較すると、
  • 六本木ヒルズエリアの方が東京ミッドタウンエリアよりも1.2倍ほど来場者が多い
という結果になりました。

来訪者数的には、六本木ヒルズエリアの方多いようです。

次に、性年代構成や、来場者の属性を確認します。

六本木ヒルズエリア
六本木ヒルズエリアの性年代構成や、来場者の属性の表
東京ミッドタウンエリア
東京ミッドタウンエリアの性年代構成や、来場者の属性の表
比較してみると、
  • どちらも男女比は半々ぐらい
  • 六本木ヒルズエリアは20代以下女性の来訪者が多い
などが目につきます。

また、ヤフー・データソリューションで推定した属性情報(※Yahoo! JAPANのサービス行動履歴から独自で推定)を基に、両エリア来訪者の属性を比較しました。すると、
  • 六本木ヒルズエリア来訪者で【大学生、大学院生】と判定された人の割合は、東京ミッドタウンエリアと比較して約1.5倍
  • 六本木ヒルズエリア来訪者で【独身】と判定された人の割合は、東京ミッドタウンエリアと比較して約1.2倍
  • 東京ミッドタウンエリア来訪者で【子供がいる】と判定された人の割合は、六本木ヒルズエリアと比較して約1.2倍
という結果が得られました。

さて、ここまでの結果を基に、来場者の違いをまとめると、
  • 六本木ヒルズの来訪者の方が1.2倍ほど多い
  • 六本木ヒルズの方が20代以下の女性・独身者・学生の来訪が多く、東京ミッドタウンエリアはお子さんがいる来訪者が多い
となりました。近隣にあって似ているような商業施設でも、訪れる人の特徴は少しずつ異なるということが確認できたのではないでしょうか。

■ 分析観点②
どのような目的で六本木ヒルズエリア/東京ミッドタウンエリアに来訪するユーザーが多かったのか知りたい。

次に、どのような目的でそれぞれのエリアに訪れる人が多かったのか、その理由を探ってみたいと思います。
今回はシンプルに、それぞれのエリアを訪れた人の集団全体が、どのようなキーワードを検索していたのかという視点で来訪の目的を探っていこうと思います。(実際には来訪時に検索を伴わない可能性もあり、検索キーワードはあくまで目的を推察するためのひとつの手段にすぎないことに注意は必要です。)

また、今回は両エリアを来訪した集団を比較してそれぞれのエリアを訪れた人に特徴的なキーワードを可視化しました。
イメージとしては以下の図のようになります。

両集団を比較した際に特徴的なキーワードのイメージの画像
それぞれに一定以上検索が特徴的とみられたキーワードをボリューム順(検索割合順)でランキング化した結果、 以下のようなキーワードが見られました。

ボリューム順(検索割合順)でランキング化した画像
また、それぞれキーワードを整理してカテゴリ分けをしてみると、

検索キーワード分類の画像
このようになりました。来訪目的としては、
  • それぞれの施設やそこで実施されるようなイベントに来訪するようなユーザーはもちろん多い
    • 六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで実施される展覧会や映画館、東京ミッドタウンのサントリー美術館やビルボード東京など
は事実として言えるかと思います。

また、今回のキーワードの中では必ずしも"来訪目的とは言えない"ものですが、
  • 六本木ヒルズエリアでは、サマステ2022が実施され、そのサポーターにアイドルグループが就任していた関係で、ファンの方々が多く来訪していた
  • 東京ミッドタウンエリアのユーザーは、美術館に対する関心が高そう。反対に六本木ヒルズエリアのユーザーは、"興味のある展覧会"があった場合に来訪するような傾向もみられる
というように、それぞれの来訪者の新たな属性、関心も確認することができました。

ところで、これら施設に訪れる人は(特徴的な検索キーワードという視点ではどうしても)別目的のように見えますが、実際にはこのような傾向になっているのでしょうか?

両施設の来訪実態を見るため、非常にシンプルに同じ日に2つのエリアに滞在した人の割合(=はしご率)を集計しました。

両エリアをはしごしたユーザーの割合(月平均)のグラフ
上記グラフは、1日で両エリアをはしごした人の割合を、月別で平均を取ったものになります。
結果を数値で見ると、
  • 同日中に両エリアを訪れた人(はしご率)は、年間で平均すると約1.3%
と、これら2つのエリアに同日に行く人は割合としては少ないという結果になりました。

これほど近い位置にありながら意外と同じ日にそれぞれのエリアが行き来されないということは、やはり両エリアに行く目的はきっちりと分かれているから、なのかもしれません。

終わりに
レポートでは六本木ヒルズエリアと東京ミッドタウンエリアで、来訪者の違いについての分析を実施しました。両施設での特徴がはっきりと可視化されたのではないかと思います。エリア間の比較分析を行ったことで、よりそれらエリアへの理解が深まったのではないでしょうか。

このように、その地域の特性を理解することで、あるいは、イベント会場候補の選定や、新規出店店舗の検討、電子公告出稿判断の可否などに活用できるかもしれません。

さて、今回実施した以外にも、オーダーメイドでビッグデータを活用した課題解決を支援するDS.ANALYSISでは、臨機応変な分析軸に対応することが可能です。今回は「六本木ヒルズエリア」「東京ミッドタウンエリア」を対象に一年間の長期間で分析を実施しましたが、以下のようなケースでも臨機応変に分析を実施することができます。

  • 特定の時期の滞在者に絞った分析
  • 特定の性年代に絞った分析(女性に絞る、など)
  • 特定の地域在住の人のみに絞った分析(都民に絞る、など)
  • 特定のエリアの勤務者に絞った分析
  • 昨年同時期との滞在者の比較

これらの分析にご興味がある方はぜひヤフー・データソリューションまでお問い合わせください。


※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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