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データ分析で観光業界再興に備えよう! 旅行客の行動特徴を可視化する

レポート

[アナリスト:池宮伸次]

2023年に入ってから、街の様子が一変したと感じることはありませんか? 特に観光地や観光スポットにここ数年では見られなかった多くの人が集まっているところを見かけた人は多いと思います。また、今年のゴールデンウィークにひさびさに長期の旅行に行ったという人も多いでしょう。

今年に入りコロナ禍で受けていた多くの制限が解除されたり緩和されたことで、特に目覚ましく回復しているのが旅行・観光のニーズではないでしょうか?実際に観光庁から発表されている「宿泊旅行統計調査」のデータを見ても、徐々に右肩上がりで回復傾向にあることがわかります。

国内旅行者数の推移(観光庁)
資料:観光庁・宿泊旅行統計調査
集計対象期間:2017年1月から2023年2月
国内旅行者数の定義:調査対象宿泊施設のうち宿泊目的割合が「観光目的の宿泊者が50%以上」の宿で、かつ外国人の同利用を除いた述べ人数

つまり、観光旅行業界は再び旺盛な需要のある活気あふれる業界へと戻ってきたといえます。ということは、データで観光客をきちんととらえその動きやユーザーの特性などを捉えることができれば、これからの旅行観光を考えていくうえで非常に役立つのではないでしょうか?
そこで、実際に検証を行ってみました。

観光客を抽出することは可能か?

今回はユーザーの行動データに対していくつかのフィルタの条件を駆使することで、旅行・観光者をとらえることができないか? という検証を行ってみました。

今回の分析における旅行者の定義方法
上記の条件で抽出したところ、おおよそ旅行・観光者の行動特性と類似した推定データを収集することができたため、実際に日本地図全体のメッシュに反映してみたのが次の図です。

推定された旅行・観光者の滞在エリアプロット

使用データ:ヤフーの位置情報(以下同様)
集計対象期間:2022年4月~2023年3月
使用ツール:tableau(以下同)

日本全国にわたって点がプロットされていることは確認できましたが、あまりに点の数が多いのでいまいち正しいのかわかりません。
そこでいくつかの観光スポットとよばれるエリアに拡大して確認してみましょう。

函館周辺

伊勢神宮周辺

このように、きれいに観光スポットもしくは宿泊エリアのみに点が現れており、上記以外の観光地と照らし合わせてもきちんとプロットされているため、おおむね旅行・観光者を捉えられていると考えてもよさそうです。

〇【属性データを加えてみる】

これらのデータに属性データを加えてみることもできます。例えばわかりやすく年代別特徴をカラーリングしてみましょう。
男女10~60代で全体集団の平均と比較してもっともそのエリアにおいてもっとも特徴スコアの高い年代のみに色をつけてみました。

東京23区の旅行・観光者の性年代別特徴度トップ色分け

その結果、東京の各スポットにおいても旅行・観光者に大きな性年代特徴差があることがわかりました。浅草に10代が多いのは修学旅行生の影響も考えられそうです。

鎌倉・江の島周辺の旅行・観光者の性年代別特徴度トップ色分け

このように一つのスポットを拡大してみても面白い発見が見つかります。鎌倉・江の島周辺の場合は鎌倉駅周辺また海岸のほうにかけては10代20代女性の特徴が高いですが、鶴岡八幡宮や北鎌倉のほうにまで行くと、50代60代女性の特徴が高くなっていることが把握できます。また一方で、少し離れた江の島は10代20代男性からの関心が高いことも把握できました。
このように観光スポットを細かなエリア単位で性年代別に検証できそうな可能性が見えてきました。

しかし、ヤフーが保有するデータは性年代別だけではありません。他の角度からも観光スポットを見てみましょう。
例えば、ヤフーには推定属性情報というパラメータを保有しています。この人は結婚している可能性が高い、子供がいる可能性が高い、野球に興味がある可能性が高いなどです。非常に様々なパラメータが存在しており、それを組み合わせることで、観光スポットを訪れる人の傾向を推定することも可能になります。一例として、大阪の旅行・観光者が訪れるエリアに、子供がいるかどうかの推定属性をクロスして可視化をしてみましょう。

大阪の旅行・観光者の子どもがいる人特徴度ヒートマップ

大阪ではUSJと海遊館、そして天王寺動物園の一部が赤くなっていますね。つまり、そのエリアでは子供がいる人の特徴がより強くなっているというわけです。このようなデータをさまざま組み合わせることで、より深く旅行・観光者を分析することが可能となるわけです。

〇このエリアを訪れている人はどういう人たち?

一方で、旅行・観光者マップを見ていると、なぜここに人が集まっているのだろうと思うこともあります。その理由や、どのような人達なのかを調べることはできないのでしょうか?
これもデータから推定することができます。そのエリアの人たちを一つのユーザーグループとして定義して行動特徴を抽出することで、そのグループの特性を見出すことができます。実際にやってみましょう。

あるエリアに多くの人が集まっているのはなぜ?

この人たちの目的を調べてみましょう。このエリアのユーザーを一つのグループに見立てて、特徴的な行動を抽出してみます。ここでは検索行動で行います。

このエリアのユーザー群から抽出した特徴検索キーワードからもわかる通り、どういう理由でこのエリアに訪れているのか、どのようなことに関心があるのかが見えてきました。ここのエリアを訪れているユーザーと「鬼滅の刃」との強い関係性があることがわかりました。




〇まとめ

旅行・観光者を捉えることができたことで、これらのデータを使った新たな分析の可能性や、さらなるデータ活用が見えてきました。特定の観光スポットを訪れるユーザーと特性や行動が類似するユーザーを拡張推定して効率的に広告を配信するといったことも可能です。

データ活用することでできること
・性年代別にそれぞれが好む観光地を一目で把握できる
・観光客に絞ったさらなる分析ができる(行動分析・関連分析ほか)
・観光スポットに訪れた人をシードとして拡張した広告ターゲティングができる
・観光スポットの可能性を秘めたエリアをデータに基づいて特定できる
・観光地間でユーザー特性や興味度の類似性を比較できる
・去年との比較、今年のトレンド、GWだけの動きなどの分析もできる

これらの分析にご興味がある方はぜひデータソリューションまでお問い合わせください。

ヤフー・データソリューションでは、今後も分析に役立てていただける調査レポートの発信をしていきます。

※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。
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