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検索データから分かる「観光」トレンド
- 事例・分析レポート
[アナリスト:木村 隼大]
新型コロナウイルス感染症の拡大から2年以上が経過し、国内でのワクチン接種が進む中、国内の旅行観光産業に関してこのような悩みはありませんか?
- 観光客を誘致したいが、コロナの先行きが見えずに大きな施策を打てない。
- 観光客がどこに行きたいのか迅速に知ることができない。
- 年代別・性別でどれくらい観光トレンドに違いがあるのか分からない。
ヤフーの検索データを活用することで、観光客の関心を素早く捉え、効率的な施策を企画することが可能になります。本レポートでは、ヤフーの検索データから世の中の「観光」トレンドを考察していきます。
今回はヤフー・データソリューションサービスで提供しているDS.APIを使用してヤフーの検索データを取得して分析を行いました。「APIって難しくないの?」と疑問を抱かれるかもしれませんが、ご安心ください。画面上の操作で簡単に取得することができます。
では、初めに世の中の「観光」トレンドの推移を確認しましょう。
DS.API対応のTableau Webデータ コネクタ機能「Search Ranking API」を用いることで、「観光」を含むキーワードの推定検索人数の推移を確認することができます。API取得方法の詳細はこちらです。
DS.APIの抽出データをTableauで可視化したものが以下の図になります。左の縦軸の推定検索人数は「観光」を含むキーワードの検索上位2,000件(API取得上限数)の推定検索人数の延べ人数で取得しております。右の縦軸は新型コロナウイルス新規感染者数を表しています。
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緊急事態宣言と推定検索人数の関係性を見てみましょう。上記図では緊急事態宣言の発令期間をオレンジ色の帯で表しています。合計4回の発令期間にあわせて、推定検索人数が落ち込んでいることが観察され、緊急事態宣言が観光トレンドに与える影響が大きいことが分かります。
続いて、コロナウイルス新規感染者数との関連をみていきましょう。特徴的な期間が青色の帯で示している今年2月頃です。オミクロン株の強い感染力の影響で新規感染者数が大幅に増加した結果、推定検索人数が大きく減少し、世の中の観光トレンドが冷え込んだことを示唆しています。
しかし、直近の6月以降ではトレンドに違う傾向が現れています。2月時点に比べて遥かに感染者数が増えている一方で、推定検索人数は前月比・前年同月比ともに増加しており、感染者数の増加と観光トレンドの減少が連動していたこれまでの傾向に変化が訪れているように推測できます。夏休み時期の観光への強い意欲や3回目ワクチン接種等の普及が進んでいることも変化の背景にあるのかもしれません。
さらに観光トレンドをもう少し詳細に見ていきます。
先程と同様に「Search Ranking API」から「観光」を含むキーワードの検索上位ランキングの中からさらに地名に絞って分析を行います。(例えば、「東京 観光」と検索されている場合、「東京」として抽出して作成。)今回は2022年7月の月間ランキング10位を可視化しました。
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1位には日本有数の観光地である「京都」が位置しています。前月順位と前年同月順位も1位となっており、京都に対する関心の強さが観察されます。そして、検索上位3地域には「淡路島」「大阪」が検索されています。京都・大阪が上位に来ることは想定内でしたが、淡路島への関心の強さは新たな発見でした。関西圏に住んでいる方が人混みから離れ、山と海に囲まれた淡路島への関心が強まっているのでしょうか。
続いて、順位変動を表している矢印に緑色が含まれています。これは順位変動の「高い上昇」を示しており、順位が10以上上昇した場合に色付けしています。「軽井沢」を例にすると、今年7月時点のランキングは8位ですが、前月6月時点の順位は23位となっています。夏の避暑地に加え、人里から離れた自然を求める世の中のトレンドも反映されているのかもしれません。また、軽井沢の前年同月順位は10位となっており、7月にニーズが高まる地域と推測できます。
また、前年7月と比べて順位を大きく伸ばしている地域が「大阪」「沖縄」「福岡」「広島」となっています。特に沖縄は40位からの上昇になっており、前年の緊急事態宣言や沖縄での感染者数の大幅な拡大による感染自粛に対する増加が考えられます。一方で、大阪を含め福岡や広島といった比較的人口密度の高い地域にも観光のトレンドが向いていることが見てとれます。
続いては、地域を1つ選びもう少し詳細にトレンドを分析してみます。今回は前年同月22位から3位に順位を上げている「大阪」に焦点を当ててみました。
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まず「大阪 観光」と検索するユーザーの属性です。右上の性別構成比を見ると男性が35%に対して女性が65%を占めており、女性の関心の強さが見受けられます。次に年代別推定検索人数の推移ですが、最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月ごろを境に大きく検索人数が減っています。全体的に推定検索人数が減っている中で、特に茶色で示している60代・70代ユーザーに関しては、検索割合が急減していることが観察されます。2020年4月以前は検索割合が10%を超える月が続いていたのですが、2020年4月以降は検索割合が5%~10%前後のレンジにまで下がっています。高齢者のユーザーの外出自粛傾向が比較的高かったと推測されます。
最後に地域別推定検索人数の比較です。
対象の地域にはランキングで上位5地域の「京都」「淡路島」「大阪」「金沢」「名古屋」を表示しています。オレンジ色の帯で表している2020年4月から10月の期間で、京都・淡路島・金沢が比較的回復しているのに対し、大阪・名古屋は伸び悩んでいます。京都は秋の時期に大きく伸びており紅葉への関心の強さが伺えます。金沢や淡路島は2019年時点では大阪を下回っていましたが、対象期間では大きく上回っています。
当時はワクチン接種が普及しておらず、必然的に人口の多い大阪や名古屋などを避け、淡路島や金沢への関心が高まっていたと考えられます。しかし青色の帯で示している2022年2月以降は低迷していた大阪・名古屋の推定検索人数も回復してきており、全体的な上昇傾向が観察されます。
今回ご紹介したダッシュボードのように、抽出したデータに対して一手間を加えることで、検索推移やランキングだけからは見えない志向や特徴を明らかにすることができます。DS.INSIGHTで発見した事実から、DS.APIを使ってより深い視点でデータを見てみませんか?新たな気づきがあるかもしれません。
本記事に使用したグラフやランキングの詳細はTableau Publicに掲載中
※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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