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検索データから見える新型コロナワクチン接種への関心変遷
- 事例・分析レポート
[アナリスト:池本 佳史]
新型コロナワクチン接種が国内で実施されて1年程が経ちます。最近では3回目の追加接種の予約や実施された方も身の回りで増えてきたのではないでしょうか。思えば1,2回目のワクチン接種が実施された当初、ワクチンへの大きな期待がある一方で、不安な点も多くあったように思います。ファイザーやモデルナ製ワクチンの違い、副反応について、接種会場予約、若者接種について、接種率の進捗など、ワクチンに対する私たちの関心は短期間で大きく変化したようにも感じます。
本分析レポートではヤフーの検索データを利用して、私たちの新型コロナワクチン接種への関心変遷を考察していきます。また、本分析にはDS.APIで提供している検索データを使用しています。
それでは、DS.APIで「ワクチン」に部分一致する検索データを抽出し、加工したものを使って分析を始めます。データの期間は2020年11月29日から2022年1月23日までを指定しています。
ヤフーで検索された「ワクチン」に部分一致するキーワード(例:「OOワクチン」)から「ワクチン」を除外した単語一覧を作成し、ワクチンに関するカテゴリごとに分類します。
例えば、「ファイザー」「モデルナ」といった単語は「海外ワクチン」に、「副反応」「モデルナアーム」といった単語は「副反応」に分類します。
カテゴリごとに検索数を合算した後に、各週でカテゴリ構成比を算出し、100%積み上げ面グラフを作成しました。折れ線グラフは、接種回数別ワクチン接種率です。接種率は、首相官邸(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html)で公開されている接種実績データと、総務省統計局(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/)の人口推計データを加工してワクチン接種率を算出しています。
グラフをみると、一般接種開始前は主に「海外ワクチン」や「ワクチンの成分」、「国産ワクチン」の検索割合が高く、関心の高い事項であったことがわかります。一般接種開始時には「ワクチンナビ」の検索割合が急増しています。また、一般接種開始以降では「予約・接種」「副反応」「証明書・アプリ」「接種率」の順に検索割合が増加しており、1, 2回目接種率の増加とともに関心が変遷していることがわかります。長期的なトレンドであった「危険性や不安」の検索数は1,2回目接種率が一定数まで上昇した後に減少傾向にあることがわかります。直近では、「3回目接種」や「予約・接種」の検索数が増加していることが分かります。
- 1, 2回目接種率の増加に従い「予約・接種」→「副反応」→「証明書・アプリ」へと関心が遷移しておりワクチン接種の一連の関心変遷がわかる。また、接種証明書といった出口戦略に対して関心が向いていることがわかる
- ワクチン接種に対しては、過去にあまり経験のないことから「危険性や不安」への関心が長期トレンドであったことがわかる
続いて、カテゴリごとの性年代特徴を踏まえた検索傾向を見ていきましょう。
検索数の年代区分ごとの積み上げグラフと性別構成比をカテゴリごとに作成して並べてあります。グラフ内には、接種回数別ワクチン接種率や、世間で話題になった出来事をプロットして、その時の検索数増加の文脈がわかるようにしました。
※パソコンブラウザー閲覧推奨
全体的な年代傾向として、検索数の年代内訳がワクチン接種順である、高齢者→若年者へ遷移しているカテゴリが散見され、性別傾向として女性の検索割合が比較的高い傾向にあることがわかります。
カテゴリごとに見ていきましょう。
ワクチンへの異物混入に関する報道があった週には、「ワクチンの成分」や「海外ワクチン」また、国内ワクチンへの期待からか「国産ワクチン」カテゴリの検索数が増加しています。
「予約・接種」カテゴリは検索数の内訳が高齢者から若年者へ顕著に変化しており、一般向けワクチン接種が高齢者から優先開始され、徐々に若者へと接種順が移っていった事実が検索数に反映されています。
大規模接種開始時には「2回目接種」カテゴリの検索数は一気に跳ねており、当時予約が殺到した背景がわかります。
「接種しない自由」(ワクチン接種しない選択に関する検索)カテゴリの検索数は、若者向け接種が順次開始されたタイミングで増加していますが、どの年代も同様に検索数が増加していることがわかります。
「接種書・アプリ」カテゴリの検索は、接種証明書アプリのリリース週に急激に増加していることがわかります。
- 全体的な傾向として、検索数の年代内訳がワクチン接種順である、高齢者→若年者へ遷移しているカテゴリが散見される。また、女性の検索割合が比較的高い傾向にある
- カテゴリごとに検索数のピークが異なっており、ワクチン接種に対する関心事項の変化が伺える
検索データを分析した結果、ワクチンに対する私たちの関心は短期間で大きく変化したことがわかりました。また、ワクチン接種率や性年代データ、世間で話題になった出来事といった補助的な情報を加えることで、データに文脈が付与され関心の移り変わりをより明確に捉えることができました。
今回は2020年11月29日から2022年1月23日までの期間で、新型コロナワクチン接種への関心分析を行いました。新型コロナワクチン接種への関心は今度も変化することでしょう。関心の変化をデータから振り返ることで、次のアクションへつなげるためのヒントになります。ヤフー・データソリューションでは、今後も分析に役立てていただける調査レポートの発信をしていきます。
本記事に使用したVizはTableau Publicに掲載中(https://public.tableau.com/app/profile/ds.yahoojp/viz/_16524330552140/sheet0)
※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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