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自動車関心へのコロナ禍の影響とこれからの潮流をデータから読み解く
- 事例・分析レポート
[アナリスト:池宮 伸次、衣目 麻里]
2020年初頭から始まった新型コロナの流行は幾度となく感染拡大を繰り返して、早くも1年半近くが経とうとしています。その間にライフスタイルそのものが大きく変わり、ヤフーデータソリューションでもたびたび分析レポートとして報告してきました。
今回は以前より要望の高かったコロナ禍におけるクルマのニーズの変化についての分析と、ワクチン接種が進み雰囲気の変わりつつあるなかでどのような潮流が起こっているのか、それについて分析をしてみました。なお、本レポートの詳細は後述する自動車業界向けオンラインセミナー(7月7日)にて解説します。
(本レポートで使用している検索数は以下すべて最大値を100に指数化済みです)
コロナの前後で増えたニーズ減ったニーズ
まずはオーソドックスにコロナ前とコロナ後の検索傾向を比較して、大局的に何が変化したのかを見てみましょう。
昨年の検索キーワードのデータ群から車に関連するキーワードを機械的に集めて、各キーワードの検索量をコロナ禍の1年間(2020年3月~2021年2月)までとその前年(2019年3月~2020年2月)で比較しました。
その結果、検索量が前年比で30%以上増加、増減5%以内、30%以上減少のグループに検索キーワードを分類し、それぞれのグループに特徴的に現れる単語が何かを対応分析にて可視化しました。
赤い点で示されている各グループに近い単語が、そのグループに特徴的に出現している単語といえます。この段階でも少し傾向が見えていますね。もう少しわかりやすいように、各グループで頻出する特徴を整理したのが次の図になります。
抽出結果を見ると、感染拡大に配慮したアウトドア志向の拡大や、不安定な社会事情を映すコストの見直しといったものに関心が増えているものの、中古自動車など自動車ニーズ自体は減らなかったことがわかります。
減少のところには「〇〇 新型」というのがありますが、これは一次的に人々の関心が新型→軽/中古車に移っている可能性が考えられます。
つまり、コロナ禍はさまざまな影響を社会にもたらしましたがクルマという生活必需品へのニーズが根底から揺さぶられるような事態にはならなかったということがわかります。
これからのトレンドは?:電気自動車とリセールバリュー
さて、前半はコロナ禍においての話をしてきました。しかし、世の中の動きを見てもすでにアフターコロナの時代にはいっています。ワクチンの接種が進むことで以前の世の中に近い活動へと戻ってきていることを皆さんも実感しているのではないでしょうか?
そこで、ここからは2021年に入ってからのトレンド傾向を分析し、今後の傾向を探ってみました。今回のレポートでは皆さんの関心も高いと思われる「電気自動車」と「リセールバリュー」についてご紹介します。
まずは電気自動車について。皆さんのイメージとして、ここ最近はやはり関心が急激に高まってきているのでは? と思いの方もいると思いますが、実際はどうなのでしょうか? 検索数の動きで見てましょう。
確かに直近において検索数は確実に増えており、2020年の年末には激しく関心が集まった時もありますが、急激に盛り上がっているかというと、そこまでという感じにも見えます。これは「EV」などの検索傾向でも同様です。
そして、この6年半ほどの時間の中で大きく検索数が増えているタイミングがいくつかあります。時系列上いくつか存在する関心上昇の山はいったいどのような理由で上昇しているのかを見てみましょう。
2020年12月3日の大きく上昇しています。これは「ガソリン車の新車販売が2030年代に禁止される」という報道によるものです。ここで、過去最大の関心が生まれています。これが、日本人の自動車に対する意識の変化の潮目になったのではと注目しています。
その理由として、こちらのキーワード群の検索数推移をご覧ください。
どれも環境に関わる検索キーワードですが、2020年後半から関心が高まり、かつ一時的な上昇ではなく高い水準で推移をしています。つまり、2020年後半から環境に対する意識のレイヤーが一つ上がった、そういう風にも解釈できます。
となると、一気に電気自動車へとニーズがシフトする.........かと思いきや、最初の推移グラフでも説明した通り、決してそういうわけではないようです。そこにはこれからの自動車を買う、買い替えるにあたっての「2030年」という数字が重要である兆しが見えてきています。
また、もう一つのトレンド「リセールバリュー」に関しては、興味深い発見がありました。その一部の画像を公開します。
この分析の詳細に関しては、前述の自動車業界向けオンラインセミナー(7月7日)にて解説したいと思いますので、ご興味・関心がある方はぜひご参加ください。
ヤフー・データソリューションでは、今後も分析に役立てていただける調査レポートの発信していきます。
※今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に 提供することはありません。
※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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