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ビッグデータから見るストレス・悩み

レポート

[アナリスト:小川知紘]



はじめに
「ストレス」は現代における大きな社会課題といえます。またコロナ禍で新たなストレスの要因がうまれたこともあり、あらためて注目される機会が増えています。

このグラフはヤフーショッピングにおいて、全売上のうち商品名に「ストレス」を含む商品の売上金額がどれくらい占めるかを2019年1月基準に表したものです。ストレスに関連する商品へのニーズも、新型コロナウイルスの流行を機に一段階増加していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

この大きく難しい社会課題である「ストレス」に対して、データで解決出来ることはほとんどないのかもしれません。
しかし議題提起・課題解決の形であれば少しでも貢献できることがあるのではないかと考え、今回はその可能性について探っていきたいと思います。


本レポートでは「ストレス」=「悩み」と置き換え、以下の3つを目標に取り組みます。
•議題提起にあたり、注目される機会の多い新たな悩みではなく、日常に溶け込んだ気付きづらい悩みにあらためて目を向ける
•悩みをカテゴリ単位ではなく具体的な悩みとして捉えることで、悩みの共感および他者の悩みへの理解を深める
•具体的な悩みを深堀し、悩みの背景や解決策のヒントを探す


性別年代ごとの悩み把握
まずはストレスの結果起こりやすい「イライラ」を起点に、性別年代ごとに特徴的な悩みを把握していきます。

・集計の流れ
1.日常に溶け込んだ悩みを取り出せるよう、新型コロナウイルス流行以前である2019年に検索者数の多かった「イライラ 抑える 方法」を軸となるキーワードとして設定
2.「イライラ 抑える 方法」検索者がヤフー一般ユーザーと比べて特徴的に検索しているキーワードを抽出
 そのうち、機械的に悩みキーワードと判定された約1000個を分析対象として定義
3.2で定義した分析対象キーワードのうち年代毎に特徴的なキーワードに絞り、性別構成比×検索ボリュームにて可視化

・集計結果
集計した結果がこちらです。参考として20代,30代をピックアップしています。
ご自身の年代,性別はもちろんのこと、異なる年代,性別の方の悩みにも注目することで新たな気づきが生まれるのではないでしょうか。


20代では「人生 楽しくない」「寝ても寝ても眠い」「肌荒れ 早く治す」など、理想とのギャップや睡眠障害,外見へのコンプレックスといった悩みが特徴的に存在しており、30代になると「離婚したいと思った時」「子育て 疲れた」など、夫婦間の悩みや育児の悩みが特徴的に現れている違いが見られます。

また30代の男女間の特徴を比較すると、全体的に男性に仕事関連,女性に育児関連の検索が集中しており、ジェンダー問題が頻繁に取り上げられるようになった現代においても未だ男女間で育児,仕事に対する負担に偏りのある様子も伺えました。
(余談ですが、ジェンダー問題の話をしておきながらグラフの解釈しやすさから性別を意識した色使いに落ち着いたことに私自身課題を感じています...)

単に悩みをまとまりとして捉えるだけでなく、実際の検索キーワードまで見ていくことで深い理解や共感へと繋がり、結果として相手への気遣いや新たなサービスを生むきっかけになるのではないかと期待しています。


悩みの深堀
では、浮かび上がった具体的な悩みを解決するにはどうしたら良いのでしょうか。
そのヒントを探るため「子育て 疲れた」を例に挙げて深堀していきます。

・特徴検索キーワード
こちらは「子育て 疲れた」を検索した人が前後に検索しやすいキーワードを、直近1年間のデータを使って抽出したものです。実際に悩んでいる人が検索しやすいキーワードを見ることで、悩みの背景や解決策のヒントを探せないかと考えました。
0日が「子育て 疲れた」を検索した日、それより左は前に検索されやすいもの、右は後に検索されやすいものという見方になります。

子育ての疲れを検索するタイミングは人や状況によって異なるため、全体を通してキーワードを見てみると「離乳食」や「イヤイヤ期」など乳幼児期の子育ての悩みが特徴的に影響していることが分かります。特に1人目の場合は子育てに慣れておらず、このタイミングでの周囲のサポートや解決サービスがいかに重要かを改めて考えさせられる結果になっています。
また、0日付近には「子育てブログ」というキーワードが出現しています。これは他の人の体験談を読むことが、共感したい,されたいといった思いに対する一種の解決策になっていることを示しているのではないでしょうか。

このように、1つの悩みを見ても複数の悩みや思いが絡み合って影響していることが見えてきます。ピンポイントにその悩みを解決するサービスはもちろんのこと、"関連して存在する悩みを広く整理した上で、自分が貢献出来ることから考えていく"といったアプローチも解決には重要になりそうです。

・検索時間帯
次に悩む時間帯にも解決のヒントがあるのではないかと考え、「子育て 疲れた」が検索されている時間帯を見てみます。日別の10分ごと検索者数合計が全時間帯合算のうちどのくらい占めるかを、参考として「イヤイヤ期 対応」「仕事 行きたくない」を比較対象に集計しました。


すると「子育て 疲れた」の検索は20時以降に検索が増えており、子供を寝かしつけた後に悩んで検索している様子が見て取れます。
20時以降に関連する解決策を提案することで、貴重な時間を悩むことではなく気分転換に活かすことが出来るかもしれません。また直接の解決策だけでなく、リフレッシュできる適切な楽しみを提供していくことも必要になるのではないでしょうか。


今後に向けて
今回は日常に溶け込んでいる悩みに着目し、大きな社会課題となっている「ストレス」の解決に貢献できる可能性を探りました。このようなデータが少しでも議題提起や課題解決のヒントとなれば幸いです。

また具体的な悩みを読み解いていくなかで、悩みは独立したものではなく複雑に絡み合った結果生じていることも見えてきました。本レポートでは詳細は割愛しますが、下記は分析対象のうち一部ワードに絞り、ワード間の関連度を基に繋がりを表現したものです。

これを関連度が一定以上の悩みにまで広げて行うことで、一見遠く思える悩みとの繋がりも見えてくると考えています。
悩み同士の繋がりを俯瞰して見られることは、1つ1つの悩み解決がもたらす影響の大きさを実感することに繋がり、結果として小さな行動が増えていくのではないかと期待しています。


ヤフー・データソリューションは引き続き各企業様,自治体様と協力し、データを基に世の中の悩みを解決するサービスへの貢献を目指してまいります。
(参考事例:「Yahoo! JAPANと三越伊勢丹、ビッグデータとAIを活用し 子育てママ向けのファッションアイテムを開発」


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