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データで可視化する今年消えた日常とニューノーマル

事例・分析レポート
[アナリスト:衣目 麻里・池宮 伸次]

早くも今年も残すところあとわずかとなりました。今もまだなお猛威を振るっている最中ではありますが、2020年は新型コロナの話題一色で一年があっという間に過ぎてしまったように感じられているのではないでしょうか。そこでデータソリューションでは2020年とはいったいどのような年だったのかをデータから振り返ってみることにしました。

【新型コロナによって失われた日常】

今年は新型コロナによる外出自粛や密回避などの影響を受けて、毎年当たり前のように行われていたことが行われないということが本当に多くありました。
そこでまずは、例年なら普段通り行われていたはずの失われた日常風景とはどういうものがあったのかをデータから広く見てみたいと思います。

今回利用する分析は「周期性ワード」です。周期性ワードとは、検索数の推移に周期性を持つキーワードのことで、例えば「年賀状」は準備のために毎年12月によく検索されるように、毎年同時期に検索されるワードのことを指しています。つまり、これらのキーワード群はいわゆる日本の風物詩であったり季節イベントであったり日本の日常を映し出すキーワード群でもあるのです。

ヤフーでは過去数年間のデータを基に検索数推移を計算、その波形から周期性を判定することで、この周期性ワードをデータとして保持し、ヤフー・サービスやデータソリューション事業にて利用しています。



この周期性キーワードが今年は大きく乱れました。コロナによって行動が制限されたりイベントが中止されたりするなかで、毎年決まった時期に検索されるキーワードが検索されないという現象が起きたためです。どのようなものが減少したのかを調べるため、2015年から2019年の間の検索数が一定のレンジに収まっている周期性キーワード群を抽出し、さらに今年の検索数が非常に低かったもののみのフィルタリングを行い、周期タイミングで春(4~6月)、夏(7~9月)、秋(10~11月)に分類してみました。どのようなキーワードが多く現れたのかを見てみましょう



今年の4月はまさに第一波と呼ばれる感染拡大によってあらゆるものが自粛された時期でした。ここでは例としてワードクラウドにも入っている「運動会」の2016年からの推移波形を見てみましょう。毎年4月と9月に検索数が増えていたものが、4月にはまったく検索数が増えず、9月も前年より検索の山が低いことが見てわかります。



さらに、夏(7月~9月)や秋(10月~11月)の大きく減少した日常風景ワードクラウドも見ていきましょう。





他の季節も同様です。夏は特にイベント中止や夏休み短縮などの影響をうけて、例年がとても検索数の多い「高校野球」や花火を見に行くための「浴衣」、プールに行くための「水着」などの検索が今年は激減しました。秋はここ数年バレンタインを越えたイベントになったハロウィンも各地でイベントが中止となり、それに伴い「コスプレ」や「ディズニー」などの検索も大幅に減少したものと推察されます。

【今年急上昇したワードは何か?】

前半で今年失われた日常風景ワードの振り返りをしましたが、次に今年大きく検索数が伸びたキーワードも振り返ってみましょう。分野別に今年よく検索された検索キーワードはすでに「ヤフー検索大賞」として発表しておりますが、ここでは特に前年と比較して「今年大きく伸びた」キーワード全体を抽出して、その出現頻度をもとにしてワードクラウドを作成。先ほどと同様に季節ごとに振り返ってみたいと思います。







どの季節を見ても必ず大きな文字でコロナが入ってきていることからもわかる通り、このような分析方法で今年を振り返ってみても、コロナ一色であったことが如実に現れました。しかしその中でも、「あつ森(あつまれどうぶつの森)」や「半沢直樹」、「iphone12」といったコロナとは関係なく今年話題となったキーワードもワードクラウドの中にはいろいろとみられ、特に注目なのが夏から秋にかけて大きく伸びたのが「鬼滅の刃」です。
鬼滅の刃は特に30代40代の世代を中心にブームが全体に広がったと思われますが、鬼滅の刃を含む検索キーワードの年代別特徴を見てみると、30代はお弁当やベビー服などのグッズを探し、40代は親子で映画鑑賞をしたい様子などがわかり、親から子へ広がっていったことがキーワードからもわかりました。50代では海外の反応や関連銘柄を気にされている方も多く、漫画やアニメとしてのブームにとどまらない広がりをうかがわせるものとなりました。このように思い返すとコロナ以外にも様々なことがあった2020年だったことがわかります。

【来年はどのような一年に?】

このように、2020年はさまざまな日常の様子や風景が消えコロナ一色であったことがデータからも見えましたが、そんな中でも新しく生み出されたワードといったものももちろん存在します。

例えば「祭り」に関する事。今年は検索されなかった周期性ワードの夏のワードクラウドに「祭り」存在している通り、今年はあらゆる祭りに関する検索数が減少していました。しかし、「祭り」に関連したワードで今年から検索されるようになったキーワードがあります。
それは「おうち縁日」です。
「おうち縁日」は7月から9月において前年同期比103.3倍という値となっており、お祭りが中止されるなかでなんとか自宅で楽しめる方法がないかと皆さんが検索されたものと想像します。また、「おうち縁日」は派生して色々なワードが検索されているのも特徴的で、新しい取り組みを色々と検索し、試行錯誤しながら取り組まれていたことが伺えます。



この共起ネットワーク図を見るだけで、子供を持つ親が家でどのように縁日を再現しようと苦心していたかが伺えますね。どんな屋台をやるかだけでなく、100円ショップで手に入るグッズはなにか、雰囲気を盛り上げるBGMは、屋台だけじゃなく提灯といった小道具までこだわるか......

これは一例ですが、今年失われたもの自粛したものが数多くある一方で、新たに生み出されたものも数多く存在していると感じます。その中には、コロナ禍の中でもできる範囲でこれまでの日常をつなげようとする言葉もたくさんありました。
来年はこのような言葉が一つとなって新しい日常として今以上に盛り上がる日本になるといいですね。

※ワードクラウドの生成方法について
今年減少した周期性ワードは、2015年から2019年の間の検索数が一定のレンジに収まっている周期性のあるキーワード群を抽出のうえ、その中から今年の検索数が低かったキーワードのみフィルタリングを行いました。2020年に検索が増えた急上昇ワードは、昨年同期間との検索数増加率でランキングを作成しました。これらのキーワード群から各月上位1万キーワードを用いて、登場頻度からワードクラウドを作成。周期タイミングで春(4~6月)、夏(7~9月)、秋(10~11月)に分類しました。文字の大きさは、減少/増加率が大きいキーワード群の中での登場回数の多さを現します。

※ 今回公開したデータを含め、ヤフー・データソリューションは、お客さまのデータを統計データとしたうえでデータの可視化や分析結果をご提供するサービスであり、個人を識別できるデータ (パーソナルデータ) については、お客さまから新たに同意をいただかない限り外部に提供することはありません。

※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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