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新型コロナウイルスは住みたい街や空間にどんな影響を与えたか

レポート
[アナリスト:衣目 麻里・池宮 伸次]

前回のレポートでは、コロナが社会にどのような影響を与えているのかを大局的に把握するため、新型コロナ新規陽性者数の増減の変化に連動するキーワードはなにかをビッグデータを用いた分析で行いました。
その結果、新規陽性者数が増加から2週間遅れて、腰痛・肩こりのような体のトラブルやお取り寄せグルメなどが増加し(正相関)、転職や冠婚葬祭などが減少する(逆相関)といったような世の中の動きをとらえることができました。

今回はさらに期間を延ばして、増減の変化から1ヶ月遅れて連動するニーズには何があるかを分析したところ、不動産関連に関して興味深い発見がありましたので下記章立てのレポートとしてお届けしたいと思います。

感染者数が増えると引っ越ししたくなる?
住むところの関心はやはり郊外へ?
どのような家がいま求められている?

【感染者数が増えると引越ししたくなる?】
新型コロナ新規陽性者数の変動から一ヶ月遅れて連動するキーワードを前回と同様の手法で分析を行なったところ、高い相関を持つキーワードに不動産と関係するものが数多く現れました。その一例として「賃貸マンション」や「中古一戸建て」の検索数推移と新規陽性者数の推移を比較してみます。

 

 

新規陽性者数の推移の山から1ヵ月ほど遅れて同じような推移を描いていることがわかります。感染者数がピークに達してすぐは直接的な対策への影響が大きかったものが、少し時間が経つことで賃貸や不動産への関心が高まる傾向にあると言えそうです。

【住むところの関心はやはり郊外へ?】
次に、どのエリアによる関心の違いがあるのかどうかを分析してみました。
これまでの報道でも、新型コロナによって大きくライフスタイルが変わったことや、テレワークの普及などで都心から郊外に住むところを移そうという動きがあるとも言われてきましたが、実際にそうなのでしょうか?
そこで、最初の緊急事態宣言の翌月5月から10月末までの半年間における各エリアの「住む場所」への関心状況を調査してみました。
具体的には「〇〇 賃貸」や「〇〇 マンション」といった検索キーワードをすべて対象とし、検索数が日を追って増えていれば関心が高まっていたエリア、検索数が徐々に減っている場合は関心が減少していたエリアと規定して、スコア化し地図上にプロットしてみました。

まずは東京23区を中心に「〇〇 賃貸」のエリア別関心状況のプロットを見てみましょう。色が赤いほど半年間の関心が伸び続けており青いほど減少し続けているエリアです。円の大きさは検索ボリュームとなっています。

 

 

これを見ると東京の中心部(都心部)には青いエリアが多く集まっており、郊外ほど赤いエリアが多く見られることが一目瞭然ではないでしょうか。
つまり、賃貸の関心は明らかに郊外へと移っていることがわかります。またよく見ると赤い円が連なっているように見える箇所は、賃貸への関心が高まっている沿線であると考えられたり、周囲が青い円ばかりの中でも関心が高いエリアがあったりと詳細に見ていくとかなり分析しがいがあるマップとなっています。

次に同様に「〇〇 マンション」をみてみましょう。

 

こちらは賃貸と比べて検索の総量が少ないためプロットされるエリアも減っていますが、大きな傾向として都市部ほど青く、郊外ほど赤いという傾向は賃貸の時と同様となっています。
そんな中でも、東京駅の下のほうにある「勝どき」はひと際赤い点となって関心が高まっている結果がでていますが、このエリアに関しては、同時期に「パークタワー勝どき」といった注目度の高いマンションへの関心も同様の上昇スコアとなっており、それらの影響があると考えられます。

最後に「〇〇 一戸建て」を見てみましょう。

 

こちらは先ほどよりもエリアを広くしていますが、やはり郊外ほど赤くなる傾向は同様で、奥多摩といったかなり都心からはなれば地域への検索があるのも特徴的です。また、よく見てみると赤いプロットの集まるエリアがいくつか確認できます。
今回は特徴がしっかりとでている傾向をつかむために一定の検索ボリューム以上のエリアに限定して分析してはいるものの、軽井沢やつくば、奥多摩なども人気が高まっていることがわかります。

以上の結果より
・不動産関連への関心はコロナの感染者数の増加がはじまってから約1ヶ月遅れで連動する傾向にある
・賃貸、マンション、戸建て問わず今回の新型コロナ感染拡大によっての住まい探しは基本的に都市部で減少傾向にあり、郊外で上昇傾向にあるといえる

ということがデータ分析の結果から見えてきました。これは検索データに基づいた可視化であるため、実際の販売数の傾向とは異なるかもしれませんが、郊外の住まいに興味を持っている人たちは増えているとはいえそうです。

【どのような家がいま求められている?】
住む場所への関心傾向はここまでの分析で見えてきました。では、関心が高まっている「家」とはどのようなものでしょうか。

前回のレポートでも「中庭のある家」の検索数が一ヵ月後に増加傾向にあるとお伝えした通り、「空間」に対してのこだわりや、コロナによる在宅勤務やマイカー所持などのニューノーマルな暮らしの影響を受けていることも同時に見えてきました。
新型コロナの感染拡大が家の空間の考え方に影響を与えているならば、ほかの関連するキーワードも同様の傾向があるのではと考え、「中庭のある家」とつながりの強い不動産関連のキーワードをビッグデータから抽出して、対前年比で検索数が伸びているもののみフィルタをしたところ、ある傾向が見えてきました。

 

分類してみると、上記に代表されるような空間にゆとりがあり、より家と外との境界線が薄く、付加価値があり、都会味が薄いものという傾向が見られました。
これらは新型コロナの感染拡大によるライフスタイルの変化が大きく影響した結果である可能性も十分考えられそうです。

これらの分析に関して、エリア詳細や他地域、最新データについてなどにご関心がありましたらデータソリューションまでお気軽にお問合せください。

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※本記事の内容は公開日時点の情報です。
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